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グローバルサウス(主としてアジア、アフリカ、中南米の新興・途上国)は、近年激化する米中対立やロシアと西側諸国の対立を、単純な陣営対立としてではなく、極めて現実主義的かつ多層的に捉えている。

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冷戦期のように明確な二極構造の下で立場選択を迫られる状況とは異なり、現在のグローバルサウス諸国は、自国の経済発展や安全保障、外交的自律性をいかに確保するかという観点から、大国間競争を冷静に観察している。

その中核にあるのが戦略的自律性の追求である。多くの国々は、特定の大国への過度な依存が主権の制約につながるとの歴史的経験を有しており、米国、中国、ロシア、欧州など複数のパートナーと関係を維持する全方位外交、あるいは多角化戦略を志向している。

インドやインドネシア、ブラジルなどの主要新興国はその典型であり、いずれか一方にくみするのではなく、各国との関係を状況に応じて使い分けることで、外交的余地を最大化しようとしている。

同時に、大国間対立そのものに対する不満や警戒感も広く共有されている。とりわけ対立の長期化がエネルギー価格や食料価格の高騰を通じて自国経済に悪影響を及ぼす場合、その批判は顕著となる。

インドのモディ首相は2022年9月、ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に「今は戦争の時代ではない」と述べ、対立の継続に懸念を示した。この発言はロシアを全面的に非難するものではない一方で、西側による対ロ制裁にも同調しないインドの独自路線を象徴している。

また、ブラジルのルラ大統領は2023年4月、ウクライナ戦争をめぐり、西側諸国が対立を助長しているとの見方を示し、和平交渉の必要性を強調した。ブラジルは米国との関係を維持しつつ、中国やロシアとも協力関係を保つことで、自国の国際的影響力を高めようとしている。こうした姿勢は、グローバルサウスの多くの国々に共通する特徴である。

アフリカでは大国間対立は日常生活に直結

アフリカ諸国においては、不満はより直接的な形を取る場合がある。南アフリカのラマポーザ大統領は2022年5月、西側の対ロ制裁が世界的な食料・エネルギー価格の上昇を招き、アフリカ諸国の経済と社会に深刻な影響を及ぼしていると指摘した。

多くのアフリカ諸国にとって、大国間対立は安全保障上の抽象的問題ではなく、日常生活に直結する経済的リスクとして認識されているのである。

さらに東南アジアに目を向けると、インドネシアのジョコ大統領は2022年11月、G20議長国として、米欧とロシア・中国の対立が国際協調を損なうことに強い懸念を示し、「分断ではなく協力」を訴えた。ASEAN諸国全体としても、地域の安定と経済成長を最優先とし、大国間競争に巻き込まれることを回避する姿勢が顕著である。

加えて、グローバルサウスは既存の国際秩序そのものに対する構造的な不満も共有している。国際金融制度や安全保障体制が依然として先進国中心で運営されているとの認識から、自らの発言力拡大を求める動きが強まっている。

BRICSの拡大や新興国主導の開発金融枠組みへの関心の高まりは、その具体的な表れである。これらは単なる反西側の動きではなく、より多極的で包摂的な国際秩序への移行を志向するものと理解すべきである。

総じて、グローバルサウスは大国間対立を善悪やイデオロギーの問題としてではなく、自国の利益と直結する現実的課題として捉えている。対立の激化はリスクであると同時に、交渉余地や選択肢を拡大する機会ともなり得る。

こうした柔軟かつ現実主義的な対応は、国際政治の多極化が進展する中で、今後ますます重要性を増していくと考えられるのである。

文/和田大樹 内外タイムス