【為替】過去最高規模に達した米ドル買い

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2015年と2024年の過去最高規模にほぼ並ぶ=米ドル買い越し

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションから試算)は、6月23日時点で買い越しが38.1万枚となり、2015年と2024年に記録した過去最高水準にほぼ並んだ(図表1参照)。6月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に初参加したウォーシュ新FRB(米連邦準備制度理事会)議長が、予想以上に金融引き締めを支持する「タカ派」と見られたことを受け、米ドル買いが拡大した影響が大きいだろう。

【図表1】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

6月17日のFOMCに初参加となったウォーシュ新議長は、利下げを強く期待するトランプ米大統領の意向を受け、金融緩和支持のハト派姿勢が注目されたが、むしろインフレ目標達成の必要性を強調したことから、予想以上にタカ派と受け止められ、米金利は大きく上昇した。

金融政策を反映する米2年債利回りは、一時は4.2%を大きく上回る水準まで上昇し、政策金利のFFレート誘導目標上限の3.75%からの上振れ幅は0.5%近くまで拡大した(図表2参照)。これは、米利上げの早期化や2回以上の連続利上げを織り込み、金利市場が動き出した可能性を示している。では「タカ派」の新FRB議長のもとで米利上げ見通しが拡大するなら、米ドル買いもさらに続くことになるだろうか。

【図表2】FFレートと米2年債利回り(2020年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドル買い越しの主役は対円と対加ドル=さらなる米ドル買い限られる?

ただ、CFTC統計の投機筋の米ドル買い越しは、2015年と2024年に38万枚まで拡大したのが最高で、少なくともこれまで40万枚以上に拡大した例はなかった。つまり、「タカ派」新FRB議長の「ウォーシュ・ショック」で米ドル買いが拡大したものの、すでに過去の経験的には米ドル買い越し拡大の限界圏に達していることを考えると、米利上げ見通しにかかわらず、さらなる米ドル買いには自ずと限度があるのではないか。

米ドル買い越しの内訳をみると、最も買い越しが大きいのは、対円と対加ドルで14.6万枚。これに対英ポンドが10.5万枚、対豪ドルが1万枚と続いた。今回対象とした非米ドル主要5通貨のうち、対ユーロでは3万枚と小幅ながら米ドル売り越しとなっていた。

以上のように見ると、米ドルが「買われ過ぎ」となる中でも、その対象は通貨によって差があるようだ。少なくともこのデータを参考にする限りでは、円や加ドルに対する米ドル買いの「行き過ぎ」懸念が強いと言えそうだ。

介入をきっかけに米ドル売りに急転換も=2024年と似た構図

6月17日の「ウォーシュ・ショック」を受けて、先週(6月22日週)ほとんどの通貨に対して米ドル買いが拡大した中で、小幅ながら例外的に米ドル売りが拡大したのは対円だった。これは円安阻止の米ドル売り・円買い介入への警戒感の影響と考えられる。

行き過ぎた米ドル買い・円売りが広がる中で、当局による米ドル売り・円買い介入をきっかけにそれが逆流に転じたことにより円安から円高への急転換が起こったのが2024年7月のことだった。今回の円安阻止介入は、行き過ぎた米ドル買い・円売り取引の逆流をもたらす可能性も注目される。

吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長