元海上自衛隊幹部のオオカミ少佐が自身のYouTubeチャンネルで「『元海上自衛隊幹部が解説』陸自歌姫自民党党大会参加問題」を公開した。動画では、陸上自衛隊中央音楽隊のソプラノ歌手が自民党党大会に参加し、制服姿で国歌を斉唱した問題について、自衛隊の政治的中立性の観点から強く警鐘を鳴らしている。

事の発端は、4月12日に開かれた自民党党大会で、陸上自衛隊のソプラノ歌手(3等陸曹)が国歌を斉唱したことだ。これに対し、オオカミ少佐はネット上の「国歌を歌うことが悪いことなのか」という擁護論を一蹴。事の本質は、「政治的集会に参加した」「制服を着用」「公的身分と氏名を明かした」「プロが歌を歌った」という4点が合わさったことだと指摘した。自衛隊法や同法施行令では、特定の政党支援や公私の地位利用、政治的目的のための利益提供を禁じており、今回の件はこれらに抵触するおそれが極めて高いと解説した。

さらに、最大の懸念点として政府や防衛省が一貫して「私人としての参加」と釈明している点を挙げた。オオカミ少佐は、依頼から参加に至るプロセスを振り返り、「組織の判断であって、個人の判断ではありません」と明言。「組織の問題ではなく、参加した個人の問題として部下を切り捨てるようなものだ」と、防衛省や陸上自衛隊トップの対応を痛烈に批判した。

また、「他党のイベントにも参加すれば公平だ」という声に対しても、それは「自衛隊の政治的本質を逆手に取った考え方で非常に危険」と反論。自衛隊が政党のイベント屋に成り下がれば、国民の信頼を失うと危惧した。

最後にオオカミ少佐は、自衛隊は国民全体に奉仕する唯一の暴力装置であるとし、「強い力を持たされている以上、それに見合う責任が求められますが、その組織を用いる政治は同等以上の責任を伴います」と語気を強めた。自衛隊の音楽隊の素晴らしさを誇りに思いつつも、それが政治に利用されることへの危機感を浮き彫りにし、組織を縛るルール自体の見直しを迫る形で動画を締めくくった。