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鹿児島県霧島市の温泉施設「かれい川の湯」で6月21日午後、熊本県八代市の保育園児・田中嶺臣(れお)ちゃん(5)の行方がわからなくなった。

嶺臣ちゃんは両親と家族湯(貸し切り風呂)を利用していたとされる。南日本新聞によると、両親が先に脱衣所に行き、浴室に戻ったところ姿が見えなくなったという。

朝日新聞によると、県警は、嶺臣ちゃんが窓から外に出た可能性もあるとみている。南日本放送によると、6月22日も捜索が続いている。

家族の団らんが一変した出来事に、SNSでは無事を祈る声が広がる一方、目を離したとされる両親への批判や、事件性を推測する投稿も相次いでいる。

なかには親を「犯人視」するかのような投稿もあった。

しかし、現時点で報じられている事実は限られている。憶測を交えた投稿は、場合によっては名誉毀損などの法的問題につながるおそれもある。

専門家は「想像だけで他者を犯人視するような投稿は避けるべきだ」と呼びかける。

●SNSの反応「どうか無事に」

報道が広がると、SNSには嶺臣ちゃんの無事を祈り、家族に寄り添う声が多く投稿された。

「ご両親の気持ちを思うと、本当に胸が締めつけられます。どうか、どうか無事に見つかってほしいです」

「なんか子供から目を離して脱衣所行ったのツッコんでる人多いけど、5歳なら一瞬くらい目を離すことくらいあるだろ」

「こういう事件があるたびに『なんで子どもから目を離すの?』って親を責めるコメントがつくのはなんでかな」

●「仮に夫婦が窓から…」批判的な投稿も

一方で、目を離したとされる親の行動を問題視する声も少なくない。

「さすがに1人にするのはどうかと思う」

「いくら家族湯だとしても、5歳の子を置いて両親とも脱衣所に行くなんて考えられないな」

さらに、報道では確認されていない見立てを広げる投稿も現れている。

「これ、仮に夫婦が窓から落としていても誰にもわからんやろ、、怖すぎる」

「裏がありそうな事故ですね」

また、京都府南丹市で今年3月に発生し、その後、継父が殺人と死体遺棄の罪で起訴された小学生男児事件を「思い出す」と結びつける投稿もあった。

●権利侵害が認められるかは…言い回しでも変わる

こうした投稿に問題はないのだろうか。ネット上の権利侵害の問題に詳しい清水陽平弁護士に聞いた。

──「これ、仮に夫婦が窓から落としていても誰にもわからんやろ」のように、確認されていない事実を仮定の形でほのめかす投稿は、名誉毀損や侮辱罪などにあたる可能性がありますか。「仮に」「もし」と前置きすれば、責任を免れられるのでしょうか。

なかなか悩ましい問題です。文脈や言い回しなどによって、権利侵害が成立したり、しなかったりします。

投稿された記事の読み方は、一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にするとされています。

ですから、「仮に」や「もし」などの前置きをつけたとしても、読む側から見て事実上断言していると読み取られる場合には、そのように評価される可能性があります。

投稿によって親を犯人と断定するようなものもあるようであり、それについては親の社会的評価を低下させたり、名誉感情を侵害したりする余地があります。

一方で、「これ、仮に夫婦が窓から落としていても誰にもわからんやろ」のような内容は、断定しているというより、「そういった可能性がある」と指摘するにとどまるものです。権利侵害があると評価することは、やや難しいように思います。

●不用意な発言で責任を問われることもある

──行方不明事件の初期段階で、SNSに投稿する際に注意すべきことはありますか。

意見や論評をすることは広く認められており、それだけで直ちに権利侵害となるわけではありません。

しかし、根拠のない憶測を向けられた側が不快に感じたり、深く傷ついたりすることは容易に想像できます。また、投稿の内容や文脈によっては、不用意な発言が法的責任を問われる事態につながる可能性もあります。

そのため、十分な事実関係が明らかになっていない段階で、想像だけで他者を犯人視するような投稿は避けるべきでしょう。

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022〜2023年) の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第5版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから〜とある弁護士の本音の仕事〜」の法律監修を行っている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:https://www.alcien.jp