なぜ「愚痴や陰口ばかり言う人」はボケやすくなるのか…脳が老いていく人に共通する「怖い習慣」
「意外に思われるかもしれませんが、自宅の換気は脳を守るために大切です。自宅は屋外よりもはるかに多くの有害ガスが充満した場所で、消臭スプレーや漂白剤を用いても、室内には不純物が増えます。
また、ガスコンロを使った場合、PM2・5と呼ばれる微粒子や二酸化窒素などの有毒ガスが、安全と考えられるレベルの100倍を超える濃度まで上がってしまうこともある。それが肺から血管を経て脳に直接入ると炎症が起こり、脳細胞にダメージを与える可能性があります」
『認知症になる人 ならない人』の著書がある、米国老年医学専門医の山田悠史氏がそう警鐘を鳴らすように、何気ない日常生活がひそかに脳を蝕んでいることも多い。そんな「怖い習慣」を見ていこう。
【前編記事】『ほんの小さな体調不良も認知症に直結する…「貧血の人」「歯周病患者」はなぜ脳の老化が早いのか』よりつづく。
「握力の弱い人は脳が老いやすい」
家の中でテレビを観るときは、難聴になる習慣に気を付けたい。山田氏は、「若い頃から音量を上げてテレビやYouTubeを視聴し続けることが認知症につながります」と指摘する。
実は「握力の弱い人は脳が老いやすい」と述べるのは、横浜総合病院臨床研究センター長の長田乾氏である。
「私が認知機能の検査をするときには握力も同時に測定しているのですが、握力が弱い人は検査の成績も低い傾向にあります。脳の神経細胞の多くは手を動かすことに関わっていますが、握力の強い人は脳神経も鍛えられており、認知機能が低下しにくいからと考えられます。
同じように、歩く速度も認知機能と相関します。高齢者を対象に日本で行われた観察研究では、歩幅が狭い人は広い人に比べて認知機能の低下リスクが約3倍上がるという結果が出ています」
脳の様々な部位を働かせるためには、同時に複数の作業をこなすマルチタスクがよいと思う人は多いかもしれない。だが、アルツハイマー病研究の第一人者で元学習院大学教授の高島明彦氏は、こう語る。
「散歩しながら音楽を聴いたり、テレビを観ながら料理をつくるのは『なんとなくマルチタスク』であり、実は脳がそれほど働かない習慣です。脳は特定のタスクに没頭し集中しているときによく動く。ひとつの物事に集中するよりトレーニング効果は薄く、逆に脳の疲労が溜まる状態と言えます」
「井戸端会議」に加わるのはNG
身体を動かす散歩は、脳の老化防止に一役買うことは疑いない。だが、毎日同じコースを回るのは、脳の老化予防にはつながりにくい。
「脳で破壊と萎縮が最初に始まるのは、『嗅内野』と呼ばれる部位です。『空間ナビゲーション機能』を司る嗅内野をフル活用させるためには、どんどんルートを変えながら、道端に咲く珍しい花など新しいものを発見していくことが大事です」(高島氏)
身体的側面ではなく、精神的な側面にも目を向けよう。
「新聞を毎日眺めるだけで、その情報から世の中の事象について深く考えない人は、認知症の入り口にいます。まるで脳を隠居させるような危ない習慣です」(『こうして脳は老いていく』の著書がある、いのくちファミリークリニック院長の遠藤英俊氏)
脳に働いてもらうためには他人とも積極的に交わったほうがよい。しかし――。
「人の悪口や愚痴を言い合う井戸端会議に加わるのはNGです。愚痴を聞いていると余計なストレスを抱え込みますし、東フィンランド大学の研究によると、周囲への敵意が強いと、海馬の神経を破壊するコルチゾールが分泌され、認知症のリスクが約3倍も高くなるんです」(高島氏)
自分を肯定してくれる友人や家族の存在も見逃せない。
「イギリスで1万人を対象に行われた追跡研究によると、その人の振る舞いを否定的に思う家族と暮らしている人は認知症の発症リスクが高いという結果が出ています。お互いに粗探しをしたり叱ったりするのではなく、褒め合ってみましょう」(前出の長田氏)
ただし、自分の意見を押し通せる環境で暮らすのは、様々な意見を調整する必要がなく、かえって脳が萎縮しやすいから要注意だ。
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「週刊現代」2026年6月22日号より
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