「国力研究会」発足で、麻生太郎氏だけが“ホクホク”?高市早苗首相も「そこまで喜んでいない」聞こえてくる自民党内の“不協和音”
5月21日、初会合が開かれたのが、“高市派”とも呼ばれる新グループ「国力研究会」だ。無派閥である高市早苗首相の弱点とされてきた“党内基盤”が、この“応援団”によって克服されるのではないか、との見立てもある。
「実際、300人以上もの自民党国会議員が参加したといいますから、かなり大規模なグループです。
ナフサ不足や日中関係の悪化、いくつものスキャンダルを抱えながらも、いまだに60%近い支持率をキープしているのが、高市さん。この人気にあやかろうと皆集ったのでしょう。発起人は麻生太郎副総裁や小泉進次郎防衛相、小林鷹之政調会長など、そうそうたる大物たちですから。
一方、不参加だった議員もいます。石破茂元首相など、もとより麻生さんや高市さんとは反目しているといわれてきた議員たちですね」(政治部記者)
不参加組筆頭が、村上誠一郎元総務相だ。国力研究会について質問する記者団に対し、「なんでそんなもの、俺が入んないといけないの」と言い捨てると、これが大きな話題になった。
本誌も村上氏に取材すると、「大変なときに大政翼賛会のようなものをつくり、政策議論もしようとしない」などと主張したほか、現政権が抱える問題が多数あるとしたうえで、「政策の議論をせず、ただ数を集めるのが政治として正しいのか」と疑問を呈した。
村上氏が「大政翼賛会」とまで評したこの大グループが応援するのは、もちろん高市首相だ。だが、その背後で影響力を誇った人物がいた。
「麻生さんです。もともと麻生さんは、2月の“電撃総選挙”を独断でおこなった高市さんと反目しているといわれてきました。その麻生さんがこのグループを事実上立ち上げた。彼としても、高支持率の高市さんを推さないと、党として瓦解してしまうと思ったのでしょう。
ただし国力研究会は、麻生さんの影響力を高市さんに示しつける機会にもなっています。高市さんに対して、『自分が声をかければ300人以上の味方をつけることができるぞ』というアピールになったわけですから。
高市さんとしては、これだけ“数の力”を持った麻生さんを無視するわけにはいきません。独断が目立つといわれる彼女ですが、今回の新グループ結成で、麻生さんに強く手綱を引かれた気持ちでしょう」(自民党関係者)
麻生氏の“権力復権”が見て取れるというのだ。では、不参加組についてはどうか。自民党関係者が続ける。
「旧石破派の議員らが不参加とのことですが、これは想定通り。ただ、麻生さんにとって意外だったのは、むしろ参加者が増えすぎたことでしょうね。このグループ結成の目的の一つに、“反高市”の炙り出しもあったはずですが、結局皆が集ってしまったので、そちらの狙いは外れたのだと思います」
だが、入会した議員にも複雑な感情があるのかもしれない。政治ジャーナリストの鮫島浩氏は、議員らのこんな生々しい声を聴いていた。
「議員の何人かに聞きましたが、入会を迷っている人もそれなりにいました。一様に皆に倣って集まるのも気持ち悪い、という人も。それでも、ここまでくると入会しないこと自体が意味を持ってしまいます。そこで、『名前だけでも貸しておくか』と、最後に駆け込み的に入った人も多かったようです。
林芳正総務相や武田良太元総務相は、もともと麻生さんと犬猿の仲だといいますが、“反高市”“反麻生”の色を薄めておこうとしたのか、それでも入りましたね。
反対に不参加組は、石破派以外には、古川禎久元法務大臣など。あとは、森山裕前幹事長などの財務族系もですね。これは積極財政を掲げる高市さんと反発するからでしょう」
さらに、意外な人物も入会していない。高市首相自身だ。
「別に総理だから入らなくてもいいんでしょうが、彼女はこのグループをそこまで喜んでいないようです。麻生さんとは手打ちをしたということなのかもしれませんが、内実は“巨大な麻生派”ができたようなもので、参加者の目は高市さんではなく麻生さんに向かっているわけですからね。
高市さんに近い人も、『麻生さんがあまりにも強くなり過ぎると、麻生さんを立てないと政権が回らなくなりかねない』と。じつは高市さん周辺にも、国力研究会を『面白くない』と思っている人は多いのかもしれません。実際、秋におこなわれるとみられる内閣人事では、麻生さんの意向を無視できなくなったでしょう」(鮫島氏)
347人もの議員が国力研究会に入会し、党を挙げて高市首相を盛り立てようという機運に見るが、実態は一枚岩からは程遠いようだ。そのなかでほくそ笑むのは、麻生太郎副総裁ただ一人なのか――。

