15日、韓国軍が北朝鮮による京義線の道路爆破を捉えた映像の一場面(韓国軍提供・聯合=共同)

 【北京共同】北朝鮮の朝鮮中央通信は17日、韓国を「敵対国家」と規定した憲法に基づき、朝鮮人民軍の総参謀部が韓国との間を結ぶ道路と鉄道の北朝鮮側を15日に爆破し「完全に閉鎖した」と報じた。韓国を敵と明記する記述は従来の北朝鮮の憲法にはなく、改憲された可能性がある。報道は詳しい憲法内容には触れていない。

 改憲が事実なら、朝鮮半島で同一民族として平和統一を目指した南北の共通理念が失われ、分断と対決の構図が固定化される。北朝鮮は陸路閉鎖を衝突防止の自衛策と主張しているが、韓国への敵対行為が法的に正当化され、偶発的衝突の危険性が高まる恐れもある。

 北朝鮮と韓国は双方が朝鮮半島全体を自国領土とし、朝鮮戦争の休戦協定で引かれた南北軍事境界線で対峙。北朝鮮は9日、韓国との道路と鉄道を遮断し「障害物で要塞化する」と表明していた。物理的に「領土」を分離し、敵国と見なす韓国との関係を断つ狙い。

 金正恩朝鮮労働党総書記は敵対関係にある南北は同族ではないとし、統一政策を放棄する方針を掲げている。

15日、韓国と結ぶ道路と鉄道の北朝鮮側で朝鮮人民軍の総参謀部が行った爆破。朝鮮中央通信が17日配信した(朝鮮通信=共同)