菜々緒が語る「見た目で判断される」ということ

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菜々緒さんが「ものすごく有能に見えて衝撃的に無能」な、主人公を演じるドラマ『無能の鷹』。ヒロインの鷹野ツメ子はおそろしいまでに無能だが、そんな自分の無能さを認め堂々と目の前の課題に臨むことで、期せずして多くの人を幸せにしていく。日常にちょっと疲れた時に肩の力を抜いて楽しめる、新しいタイプのお仕事ドラマだ。

鷹野というキャラクターや頑張りすぎることについての思いを伝えた前編「超できそうなのに恐ろしく無能だったら? 菜々緒が語る「できない自分」との付き合い方」に続き、インタビュー後編では「見た目で判断されること」への違和感、役に臨む際の意識について聞いた。

運動神経がいいと思われがちな私ですが…(笑)

「見た目の印象で勝手にイメージされる役」といえば、菜々緒さんが絶対的な説得力を持って主演したドラマ『主に泣いてます』の紺野泉がそうだった。彼女は美しすぎるがゆえに幸せになれないヒロインだったが、菜々緒さんが見た目で相手をこうと決めつけることについて思うことは?

「見た目で判断、ついしちゃいますよね。ビジュアルって大きな情報ですし、直感としてそこから何かを思うことは悪いことではないと思います。ただ、それにプラスして、会話など表面的な部分以外からも相手を知る努力をすることが大切なのだと思います。

たとえば私の場合ですと、役柄によってはアクションをやらせていただく機会があるのですが、私はめちゃくちゃ運動神経がいいと思われがちなんです。でも実際は足がものすごく遅くて(笑)。

以前、時代劇で盗賊の役を演じた際、私が女の頭の役で先頭を走る場面があったのですが、あまりに遅いものだから周囲がザワザワしていました(笑)」

勝手に期待してがっかりするのはイメージの押し付け

世間では相手の本質と自分が抱いていたイメージが違っていた時に、「裏切られた」と受け止める人もいる。人間の勝手な思い込みほどやっかいなものはないが、思い込みだと理解していても上手く折り合いがつけられないのもまた人間でーー。

「わかります。でも人に期待して、残念に思ったり、がっかりしたりするのって、実は全部自分に原因があるんですよね。『私が勝手にそう思っていただけ』という(笑)。いわばイメージの押し付けです。

対策として私は、『自分がこういうふうに思ったからいけないんだ』と、落とし込むことにしています。そうすると相手のせいにせずに済みますから」

流れに身を任せ、ただ素直に現状を受け止める

『無能の鷹』で鷹野とコンビを組むのは、実は有能なのに無能に見られ、人から軽く扱われがちな同期の男性社員・鶸田(ひわだ)。鷹野とは真逆のキャラクターだが、知らず知らずのうちにお互いの足りない部分を補い合い、成果を上げていく最強のバディとなっていく。

「2人が協力することで、素晴らしい結果が出せる。鷹野と鶸田はまさに表裏一体といいますか、二人が一緒になった時にパワフルな何かが生み出されるという、まるで世界の縮図を表しているかのような関係性だと思います。

人間誰しも得意不得意があり、難なくこなせることもあれば、どんなに頑張ってもできないこともあります。1人では生きていけない社会で、お互いに支え合うことで物事が上手い方向に転がっていくんですよね。

また、私たちは日頃、ああしなきゃいけない、こうしなきゃダメと、頭の中であれこれ考え、調整して行動しがちですが、鷹野は一切それをしないんです。流れに身を任せて、素直に現状を受け止めているだけ。なのに全部うまくいっている(笑)。そのあたりにも深いメッセージ性を感じます」

常にフラットなメンタルで、自分であることを大切に

菜々緒さんが前回FRaUwebのインタビューに登場したのは、映画『怪物の木こり』出演時。連続殺人鬼と対峙する、サイコパス傾向強めのプロファイラーというハードルの高い役柄だった。今回、“テンポ感が命”のコメディーという、また違う種類のハードルが用意された作品に臨む気持ちは?

「そうなんです、またもや高いハードルが……(笑)。でも今回は、楽しんで演じることが大事かなと思っていて。そもそも目の前にある壁やハードルって、困難な障害物である反面、それを乗り越えたら自分にとって絶対的な糧になるものだと思います。

自分がより力をつけるためにそういう機会をいただいているのだろうと思うので、純粋に楽しみながら構築することを心がけたいと考えているんです。

物事が好転していく時って、ネガティブな思考になったり不安になったりという、悪い方向に気持ちがいっていない時だと思うんですね。鷹野じゃないですが、常にフラットなメンタルで、まわりにも影響されず、ただ自分であることを大切にしようと思っています」

「早くドラマを観て〜!!」と言いたいです(笑)

今回のインタビュー直前には、共演者である塩野瑛久さん、井浦新さんとの合同インタビューも。3人の和気あいあいとした雰囲気や、賑やかなやり取りから、現場の楽しさがうかがわれた。

「とにかく今は、この記事を読んでいる皆さんに『早くドラマを観て〜!!』と言いたいです(笑)。撮影初日は会社のシーンからスタートしたのですが、もうすごかったですよ、出演者それぞれがキャラクターになりきっていて。

原作からそのまま飛び出してきたかのような世界観が繰り広げられているので、演じていてもめちゃくちゃ面白い。また現場の雰囲気がものすごくいいんです。この楽しさをそのまま皆さんにお届けしたいと張り切っています」

菜々緒(ななお)

1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。2009年より本格的に芸能活動を始め、ドラマ・映画・CM等幅広く活躍中。最近の主な出演作は、NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」、主演を務めたドラマCX「忍者に結婚は難しい」、劇場版「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」、映画「怪物の木こり」など。昨年発売した10年ぶりの写真集「DIVINE」も話題となった。2023年より、GIVENCHYのジャパン・アンバサダーに就任。今年8月には「NANAO OFFICIAL FANCLUB」を開設した。

金曜ナイトドラマ『無能の鷹』

主人公の鷹野ツメ子(たかの・つめこ)はスマートな身のこなしに落ち着いた声。自信に満ちあふれているのに謙虚な立ち振る舞い。どこからどう見ても中堅エース級の風格を備えていて、超有能そうな見た目なのに、実は衝撃的に無能! 一方、鷹野と同期入社の鶸田道人(ひわだ・みちと)は、本当は仕事ができるのに、見るからに無能そうな残念サラリーマン。社内ニートとなっている鷹野の相棒役を押し付けられ、不運すぎる社会人生活をスタートさせる。しかし、やがて“有能に見える女”と“無能に見える男”の最強タッグが奇跡を起こす…!?

2024年10月11日(金)スタート

毎週金曜 夜11:15〜深夜0:15、テレビ朝日系24局 ※一部地域を除く

https://www.tv-asahi.co.jp/muno_no_taka/

スタイリスト:金 順華

ヘアメイク:大槻史菜(MARVEE)

超できそうなのに恐ろしく無能だったら? 菜々緒が語る「できない自分」との付き合い方