毎日しっかり眠った方がいいと頭ではわかっていても、忙しい平日はつい睡眠時間が短くなってしまい、代わりに休日にたくさん眠っているという人は多いはず。新たな研究では、たとえ平日の睡眠時間が短くても、週末にたくさん眠ることで心臓病のリスクが最大20%低下することがわかりました。

Catching up on sleep on weekends may lower heart disease risk by up to 20% | ScienceDaily

https://www.sciencedaily.com/releases/2024/08/240829132531.htm



Catching up on sleep on weekends may lower h | EurekAlert!

https://www.eurekalert.org/news-releases/1055664

Extra Sleep on Weekends Linked to a 20% Lower Heart Disease Risk

https://scitechdaily.com/extra-sleep-on-weekends-linked-to-a-20-lower-heart-disease-risk/

Weekend sleep-ins may benefit heart health, research finds | CNN

https://edition.cnn.com/2024/08/30/health/weekend-sleep-lower-heart-disease-risk-wellness/index.html

学校や仕事のスケジュールの影響で平日に十分な睡眠がとれない人は、休日にたくさん寝ることで睡眠不足を補っているケースが多々あります。しかし、この代償的な睡眠が心臓の健康に役立っているのかどうかについては、十分な研究が行われていませんでした。

そこで中国の研究チームは、イギリスに住む40〜69歳の被験者50万人以上を追跡したUKバイオバンクのデータを使用した研究を行いました。この研究では、活動モニタリングウォッチを使って睡眠時間を測定した9万903人のデータを分析し、平日の睡眠不足を休日に補った時間に基づいて4分割しました。

4グループの平日と比較した休日の睡眠時間は以下の通り。

・グループ1(休日の代償的な睡眠時間が少なかった上位25%):「−16.05時間」〜「−0.26時間」

・グループ2(休日の代償的な睡眠時間が少なかった26〜50%):「−0.26時間」〜「+0.45時間」

・グループ3(休日の代償的な睡眠時間が少なかった51〜75%):「+0.45時間」〜「+1.28時間」

・グループ4(休日の代償的な睡眠時間が少なかった下位25%):「+1.28時間」〜「+16.06時間」

また、一晩の睡眠時間が7時間未満だった人々は睡眠不足であると定義され、被験者のうち1万9816人(21.8%)が睡眠不足に分類されました。



中央値で約14年間の追跡期間の後、休日の代償的な睡眠時間が最も多かった「グループ4」の人々は、最も代償的な睡眠時間が短かった「グループ1」の人々と比較して、心不全・心房細動・脳卒中といった心血管疾患を発症するリスクが19%も低いことがわかりました。

また、睡眠不足に分類された被験者を対象にした分析でも、「グループ4」の人々が「グループ1」の人々と比較して心血管疾患の発症リスクが約20%低いことが示されました。また、男女の間で違いはみられなかったとのことです。

記事作成時点で、研究結果は学術誌に掲載されていませんが、2024年9月1日に開催されたEuropean Society of Cardiology(欧州心臓病学会)の年次会議で発表されました。

研究チームの1人で、中国のNational Centre for Cardiovascular Diseaseに勤めているYanjun Song氏は、「十分な代償的睡眠は、心臓病のリスク低下に関連しています。この関連性は、平日に定期的な睡眠不足を経験している人々の間でさらに顕著になります」と述べました。