9回、サヨナラ適時打を放ち手荒く祝福される中野(撮影・山口登)

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 「阪神4−3広島」(14日、甲子園球場)

 阪神は九回、中野の適時打で今季7度目のサヨナラ勝ち。逆転優勝へ望みをつなぐ1勝となり、3位・広島は6連敗で6年ぶりの優勝が遠のく逆転負けとなった。デイリースポーツ評論家の佐藤義則氏は「両チームの勢いの差がそのまま出た」と解説。残り12試合、奇跡を目指す阪神の戦い方について語った。

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 両チームの勢いの差がそのまま出た試合だった。広島は七回、救援の島内が四死球などで1死満塁のピンチを残して降板。代わった森浦も梅野へ押し出し四球、さらには矢野の適時失策もあって同点に追いつかれた。九回も黒原の四死球からピンチを招いてサヨナラ負けにつながった。

 四球や失策から試合を落とすのは、負けが続いているチームの典型的な敗戦パターン。いわゆる自滅というものだ。一方、阪神から見れば、相手が勝手にコケてくれてチャンスが訪れた。もちろん代打・原口や中野の殊勲打があったにしろ、相手のミスにつけ込んで、しっかりと勝ち切ったところは、チームの勢いを物語っている。

 広島はこの6連敗で相当厳しくなり、阪神は望みをつなぐ、大きな逆転勝ちとなった。残り試合を考えると、巨人が有利なのは間違いないが、それほど打線がいいわけではなく、絶対的に有利かというとそうとも言い切れない。今年は首位に立ったチームが途端に連敗して下に落ちていく傾向もあるだけに、最後まで予想はつかない。

 阪神は残り試合が少ないことを考えれば、とにかく早く相手に追いついておきたいし、できれば0・5ゲームでもいいから上回った位置でシーズンを終え、相手の戦いを待ちたいところ。そのためにも残り12試合、全部勝つつもりで戦っていかないといけない。

 カギは先発陣の頑張り。今は打線の状態がとてもいいし、救援陣も充実している。きょうの才木のように6回3失点ぐらいまでに抑えられれば、連勝を続けていく戦い方は十分にできる。今の阪神の勢いを見れば、最後の最後に一波乱が起きる可能性は十分にある。