宮崎駿監督にプレゼンした川上量生氏(2014年撮影)

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KADOKAWA取締役の川上量生氏が2024年9月12日、自身のXを更新。スタジオジブリの宮崎駿監督が川上氏のプレゼンに不快感を示す動画が定期的にSNSで拡散する件について、「そろそろ終わって欲しい」とコメントした。

「極めてなにか生命に対する侮辱を感じます」

定期的に拡散しているのは、16年11月13日に放送されたNHKのドキュメンタリー番組の一幕だ。番組名は「NHKスペシャル 終わらない人 宮崎駿」。宮崎監督に密着して取材する内容の中で、川上氏が率いるチームがCGの技術を説明する場面があった。

人工知能で動きを学習させたCGを宮崎監督に見せた川上氏は、「これは早く移動するって学習させたやつなんですね。頭を使って移動しているんですけど、基本は痛覚とかないし頭が大事という概念がないので、頭を普通の足のように使って移動している」と解説し、こう続けた。

「この動きが気持ち悪いんで、ゾンビゲームの動きに使えるんじゃないかって。こういう人工知能を使うと、人間が想像できない気持ち悪い動きができるんじゃないか」

これを受け、宮崎監督はとある友人について語り始めた。身体に障害があり、筋肉がこわばっているため、ハイタッチすることも大変だとし、「その彼のことを思い出してね。僕は面白いと思って見ることできないですよ」と指摘。そして、こう続けた。

「これを作る人たちは痛みとか何も考えないでやっているでしょう。極めて不愉快ですよね。そんなに気持ち悪いものをやりたいなら勝手にやっていればいいだけで、僕はこれを自分たちの仕事とつなげたいとは全然思いません。極めてなにか生命に対する侮辱を感じます」

川上氏は、「これってほとんど実験なので、世の中に見せてどうこうとそういうものじゃないんです」と釈明したが、スタジオジブリの鈴木敏夫氏からも「どこへたどり着きたいんですか?」との質問が飛んだ。

「どちらが正しいといったことはない」

川上氏は24年9月12日、宮崎監督と川上氏の動画を拡散する投稿を引用し、「これ、半年に1回ぐらい、だれかが再投稿して、1000万以上再生ぐらいされるの続いているんですが、そろそろ終わって欲しい」とXでコメント。

また、ドキュメンタリー番組が放送された当時、川上氏が書いた16年11月16日のブログをあらためて取り上げた。ブログ内で、川上氏は「まず、あのシーンにおいて、どちらが正しいといったことはないと、僕は思っている。それぞれ違う考え方、違う感じ方を持つ別々の人間であるというだけの話だ」との見解を示した。

だが、「僕が『ある人』を不快にさせることを、『ある人』のテリトリーでやってしまったということだ。それについては全面的に僕の失敗であり落ち度だ」との反省もつづった。その後、こう振り返っている。

「おそらくは否定的な反応だろうというのは事前から予想はしていたが、まあ、なんらかのヒントや刺激になれば十分だぐらいに思っていたのだが、想定していたよりも、かなり、めちゃくちゃ怒られた」

最後に、「放送ではめっちゃ怒られていたが、もちろん、僕は今でも毎週月曜日は、僕を怒ったひとの会社に出社している。まるでジブリのように素敵で暖かい職場だ。むしろジブリそのものといってもいい。特に最近は怒られることもなく平和に暮らしている」と締めくくっていた。