広島3連戦を3連勝で終え、サムズアップをする阿部慎之助監督(撮影・市尻達拡)

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 ◆広島0―5巨人(12日、マツダスタジアム)

 攻めに徹した積極タクトが、敵地スタンドに悲鳴を奏でた。動いて初戦を制し、「我慢」の2戦目はミラクル逆転勝利。迎えた3戦目、阿部監督は再び動いた。出塁した坂本の代走に丸を起用し、今季初めて8回途中から大勢を投入。アッと驚く勝負手がハマり20年以来、実にマツダスタジアムで4年ぶりの同一カード3連勝を飾った。

 ハイライトは8回だ。リードは3点。7回のケラーからバルドナードと、勝利の方程式で試合を進めた。2死から坂倉の左前打後、堂林を四球で歩かせ一、二塁。ここで阿部監督がベンチを出た。右の船迫、左の高梨らが控える中、マウンドに走ったのは大勢。敵地が騒然とする光景に、指揮官の強い覚悟が見えた。

 「3点差だったし、バル(ドナード)が不安定すぎた。昨日の試合を見ても一つの四球が致命傷になる時がある。あそこはスパッと変えました」

 11日の第2戦。広島の守護神・栗林が先頭四球から崩れた。47年ぶりの9回9得点に浮かれず、眼前に広がる光景を戒めにした一日。ここで大勢が末包を投手ゴロに抑えると、9回に丸がダメ押しの12号2ランを放った。ベテランは7回に坂本が右前打で出塁後、昨年5月26日・阪神戦以来の代走で出場。ここもスタンドが驚く采配ではあったが、9回は湯浅、オコエの犠打失敗後の一発で、指揮官も「丸がカバーしてくれて勝てた」と感謝した。

 劇的な3連勝で貯金は今季最多の15。2位・広島、3位・阪神とのゲーム差は4に広がり、最短で13日にも優勝マジック「12」が点灯する。「この3連勝を無駄にすることなく、また明日からその日、その日、勝つためにみんなで頑張りたい」と指揮官。鬼門突破でムードは最高潮。歓喜のゴールが見えてきた。(田中政行)