あびる優とは話し合い続行中…才賀紀左衛門の告白「僕がブログを閉鎖し、格闘家を引退した理由」

写真拡大 (全8枚)

「今、めっちゃ幸せなんですよ」

待ち合わせ場所の喫茶店に現れた才賀紀左衛門(35)は記者の顔を見るなり、そう言い放った。髪は綺麗に刈り揃えられ、以前と比べてややほっそりとした面持ち。顔から険しさが消え、少し若返ったようにも見えた。

「会員制のパーソナルジム『サイガジム』が、おかげさまで順調で。午前中だけで20人かな? 来てくれました。今日はトータルで37人来る予定です。会員数は80人ほどで、全て口コミで集まってくれた人たちです。多くが経営者の方ですね。ダイエットや健康維持、格闘技の試合への出場と目標はそれぞれ。僕の他にRIZINやRISE、K-1、ブレイキングダウンに出ているプロ格闘家5名がスタッフとしてウチで働いてくれてます。日曜だけお休みをいただいているんですけど、皆さんの要望を受けて日曜も午前はジムを開けようかなって考えています。スタッフも賛成してくれてますし。ホンマに僕は……人に恵まれていると思います。周りにいる人がいい方ばっかりで、みんなに支えられて生きてるなって実感しています」

9月1日のブレイキングダウン出場が決まっているライト級のNAO選手(27)に特に目をかけており、彼との出会いを紀左衛門は「宝くじを引き当てた感じ」と表現した。そんな紀左衛門に格闘家引退を決断させたのもNAO選手だった。

「目の病気で視界が狭まっていることは以前にもお話ししましたけど、やっぱりね、目の反応が鈍くなっているんですよ。NAOとマススパーしながら”やっぱり何テンポか遅れるな”と思い知らされて……。まだね、太陽光の下だと見えるんですけど、このお店みたいに蛍光灯の下だとダメですね。あと、身も心も100%預けられる信頼できるトレーナーがいないことも大きかった。辰吉丈一郎を教えていた島田信行さんとか、K-1の湊谷秀文さんとか、大阪には信頼できるトレーナーさんがいるんですけどね。格闘家にとってメンタルはめちゃくちゃ大事。信じ切れるトレーナーの存在は不可欠なんです」

ほぼ同時期にもう一つ、紀左衛門が“終わらせた”ものがある。

長女と暮らす日常が素直に綴られ、度々ネットニュースになっていたブログが5月7日をもって突如、閉鎖されたのだ。以降、紀左衛門の近況を知る機会は減り、ネットニュースになったり、炎上する機会も激減した。

「アメブロの方に『やってみませんか?』と声をかけていただいて、コロナ禍の’19年ごろから始めた思い入れのあるブログでしたが……あまりにも大量のクレームがアメブロさんに寄せられているのが忍びなくて。担当者と話し合いを重ねた末に閉鎖することにしたんです。自宅で僕がこの手で削除しました。

寂しい話っすよね。『この表現は避けましょう』『この写真は差し替えたほうがいいかもしれません』と歴代の担当の方にはたくさんアドバイスをいただきながら、トータルで5年ほどでしたか。僕はアフィリエイトとか下手クソなんで有名ブロガーさんみたいには稼げませんでしたけど、それでも最高で月200万、アベレージで60万円くらいは稼げていたのかな。コロナ禍で試合がなくなって苦しい時期に、随分助けてもらいました。感謝しています」

アメブロのパパ部門で1位になった時期もある彼のブログが大きく取り上げられるようになったキッカケの一つが、元妻・あびる優(38)との長女をめぐる親権争いだった。

「今も……というか、昨日も優とやりとりしましたよ。話し合いは続けています。直近にどんなイベントがあるのか、習い事はどうしているか、弁護士も入っている3人のグループを通じて、娘の予定や情報は全てオープンにしています。その上で『いつでも会いに来て』って優にはメッセージを送っている。最近、共同親権についても話をしました。必ず会ってほしいし、長女にとって母親は優しかいない。親子の関係性は変わらないわけですから。“優は自慢のママなんだよ”って、事あるごとに娘に言い聞かせてます」

話しながら、紀左衛門は「僕は人として未熟だった」と、ひとりごちた。

「親権をめぐる優との争いも、一人での子育てもホンマにしんどかったけど、たくさん学ばせてもらいました。今なら彼女の言動が長女のことを想ってのものだったと理解できます。目指すところは一緒だった。ただ、価値観が違っていたんだなって。『モンちゃん(紀左衛門の愛称)とお酒が飲みたい』って言われて当時の僕は『アホか、俺は現役のアスリートやぞ!』って怒っていたけど、なんであんなに余裕がなかったんでしょうね。社会不適合者やったなぁって、反省しています。傷つけてしまって本当に申し訳なかった。彼女はもう新しいパートナーがいて、新たに子供も出産しました。もう僕は幸せにしてあげることはできないけれど、どうかいい家庭を築いてほしいです」

幼かった長女は小学3年生になった。「手ごねハンバーグを作ってくれたんですよ」とスマホの待ち受けにしている画面を見ながら紀左衛門は目尻を下げた。

「大阪に住んでいたオカンが東京に出てきてくれて、今、3人で暮らしています。才賀家は大丈夫なのか、あの親子は食えているのかと心配の声がネットに上がっているみたいですけど、僕たちは毎日、穏やかで楽しい日々を過ごしていますよ。長女をしっかり育てること、ジム経営を頑張ってNAOを一流の格闘家にすること。これが当面の目標です。たくさん苦労したぶん、僕はいいトレーナーになれると思うんです」

セコンドとして、辣腕トレーナーとして、会場でスポットライトを浴びる父の姿をいつの日か、長女に見せたい。紀左衛門が第二の人生に向けて走り始めた。