日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が2024年9月に開催する「楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO) 2025 S/S」の概要が7日に発表され、全33ブランドの参加が明らかになった。一般参加コンテンツや情報発信への取り組みを強め、東京のファッションシーンの活性化を図る。参加ブランド数の減少傾向が見られるなか、JFWOは、「参加ブランドの数ではなくクオリティを重視する」と強調するとともに、若手支援や海外との連携強化など通じたファッションブランドのビジネスの機会創出に併せて注力する姿勢を示した。

全33ブランドが参加

9月2〜9月7日の期間中、東京・渋谷ヒカリエや表参道ヒルズを主会場に、全33ブランドが2025春夏コレクションを発表する。そのうち、オンライン発表は7ブランド、初参加は6ブランド、海外からの参加は7ブランド(イタリア、フィリピン、カナダ、香港、台湾、タイ、中国)。関連イベントとして、JFW NEXT BRAND AWARD* 2025受賞ブランドであるテルマ(TELMA)が開催初日にランウェイショーを行うほか、FASHION PRIZE OF TOKYO** 2025やTOKYO FASHION AWARD*** 2025の受賞ブランド発表会など15のコンテンツを実施する。*JFWOが2023年に発足したブランドサポートプログラムで、ファッション業界でのグローバルな活躍が見込める新しい才能を育成・支援していくことを目的としている。**東京都とJFWOが主催するファッションプライズ。すでに国内外で知名度のある東京のファッションデザイナーを1組選定・表彰し、パリでのコレクション発表をサポートするなど国際的ブランドへの成長を支援する。***東京都とJFWOが主催するファッションアワード。国際的な活躍が期待される東京のファッションブランドを選定・表彰し、パリでの展示会参加など国内外での事業成長を支援する。  

▼「楽天ファッション・ウィーク 2025S/S」初参加ブランドテルマ(TELMA/デザイナー:中島輝道)、ハウス オブ ムア ムア(HOUSE of MUAMUA/ルドヴィカ ヴィルガ[イタリア])、コニテンブラ(52tenbo+/小錦八十吉、tenbo)、マーカス コビントン(MARCUS COVINGTON/市川マーカス知利)、オー・ゼロ・ユー(O0u/近藤満)、ケイコ ニシヤマ(Keiko Nishiyama/西山景子)

東京ファッションの認知をより上げるため、一般参加可能なコンテンツも多く設けた。TOKYO FASHION AWARDの10周年記念イベントとして、過去の受賞ブランドのアーカイブなどを展示する「10 years of TOKYO FASHION AWARD」や、ウェブメディアのミミックによる1990年代〜2000年代のストリートブランドを集めたフリーマーケット「あんときマーケット」を開く。前シーズンに初開催したOpenFashion社によるTOKYO AI Fashion Weekでは、AIを使ったファッションデザインコンテストや作品展示、セミナーなどを引き続き行い、ファッション業界における生成AIの価値や共生のあり方などを模索する。

楽天ファッション・ウィーク東京 2025 S/Sのキービジュアル。「FASHION FANFARE(ファッションファンファーレ)」をコンセプトに、ファッションの楽しさや始まりへの期待感を表した(Image:JFWO提供)

楽天by Rは日本発ブランド「サルバム」を支援

冠スポンサーを務める楽天によるプロジェクトby R(バイアール)は今回、ブランド設立10周年を迎えた藤田哲平デザイナーのサルバム(sulvum)を支援する。その中には楽天ファッション・ウィークでのランウェイショーやパリ・ファッション・ウィーク期間中のパリ旗艦店オープンの記念レセプションパーティーなどの実施が含まれる。また、楽天が運営するファッション通販サイト「Rakuten Fashion」でランウェイショーを一般向けに無料配信する。同社は2019年8月からby Rを通じて日本発の実力派ブランドを支援してきたが、前の2024秋冬シーズンに初めて海外発ブランド(マリメッコ)を支援したことが話題になった。楽天グループで常務執行役員兼コマース&マーケティングカンパニーのシニアヴァイスプレジデントを務める松村亮氏は、「東京そして日本のファッション業界を盛り上げていくという目的は当初から変わっていない。やり方を固定化してしまうのではなく、ファッション業界のその時々の状況に合わせ、視点や視座を変えながら実施していきたい」と話した。

ファッションビジネスの場としての価値

7日に都内で行われた記者向け発表会。右はJFWO事務局長の古茂田博氏

JFWOがファッション・ウィークにおいて力を入れるのが、若手支援や海外のコンテンツやバイヤーらとの関係強化などを通じたファッションブランドのビジネスの機会創出だ。JFW NEXT BRAND AWARDに加え、今回は、マロニエファッションデザイン専門学校の卒業コレクションを実施する。JFWO事務局長の古茂田博氏は、ファッションを専攻する学生との連携を強める狙いとして、「ファッション業界は人口減少によって若手が減り、若者は専門学校を出てもコロナ禍によってファッション業界に入れないという、もったいない状況がある」と説明。国内外を含めた学生とファッション業界をつなぐ取り組みを強化するとともに、今回の卒業コレクションに関しても、「学生たちのリクルート活動の一環になるよう、新たな発表の方法を考えている」と語った。前シーズンから招致・開催している仏パリ発祥のファッション合同展示会トラノイ(TRANOi)も継続する。国内外含め約175ブランドの出展を予定しており、おもなターゲットはアジアからのバイヤーだ。ファッション・ウィークとトラノイを回遊してもらうことで、「ビジネスチャンスの広がりを狙う」(古茂田氏)という。海外からのバイヤーやプレスの招待もコロナ禍後に本格化しており、リアルな記事の発信やバイイング実績の増加を目指す。今回は、ソッツァーニ・ファウンデーションクリエイティブディレクターのサラ・ソッザーニ・マイノ氏やThe New York Times Style Magazine編集長のニック・ハラミス氏、クリエイティブ・ディレクターのニック・ウースター氏を招待する。

開催時期の背景には「悩ましい」問題も

一方、参加ブランド数の減少も指摘された。コロナ禍を除き、ファッション・ウィーク東京には毎シーズン50〜60ブランド以上の参加が見られたが、前シーズン(43ブランド)から減少が続く。その要因として古茂田氏が挙げたのが、ブランド側の資金的な問題や、海外展への参加だ。特にメンズの有力ブランドは、海外バイヤーに向けて早期にコレクションを披露するため、6月のパリ・ファッション・ウィーク・メンズなどに出展する傾向が強いという。同氏は、「東京展の開催時期が遅くならざるを得ないのは悩ましいが、ファッション・ウィークはパリやミラノなど他都市と開催時期を調整しながら行わなければならない」とし、2月や7月などにブランドをサポートするための取り組みを別途行う可能性も示唆した。JFWO理事の太田伸之氏も、東京展の開催時期の影響を指摘した。「世界的に見ても、ビジネスとクリエーションの発表はセットで考えるべきだとされるなか、現在の開催時期は、やはり遅い」といい、「できるだけ早く発表し、受注し、いいものをきちんと届けるべきだが、今後、パリ・ファッション・ウィークの開催時期が遅れるといわれている。それが良しとされるかどうかは疑問だが、開催時期については互いに邪魔しないことも大切だ。おそらくこの開催時期については、 これから世界中で色々な論争が起こると私は思っている」と語った。 しかしながらファッション・ウィーク東京において両者が強調したのは、「数より質」の重視だ。古茂田氏は、「(ブランドの)数を取っていくのが目的ではなく、クオリティを重視しながら新しい魅力を追求していく。そのなかで選定したのが33ブランドだったと捉えている」と説明した。加えて太田氏も、「ブランドからショーをやりたいと相談を受けることが多いが、無理してショーをやるなと言っている。無理して経営破綻してしまってはいけない。また、多くのブランドがパリに出展したいというが、実際に売上の大半を占めるのが、欧州でもアメリカでもなく、アジアのお客様によるものだ。もっとアジアを重視するべきであり、東京のファッション・ウィークもアジア各国と手を結んで事業やクリエーションを発展させていくべきではないか」と話した。取材・文・撮影/戸田美子