アメリカは中国に対して最新技術を輸出しないように厳しい規制を行っていますが、中国はさまざまな回避策を用いて最新技術を手に入れています。調査によると、1億ドル(約142億円)以上にあたるNVIDIAのチップが輸出されていることが確認されたとのことです。

With Smugglers and Front Companies, China Is Skirting American A.I. Bans - The New York Times

https://www.nytimes.com/2024/08/04/technology/china-ai-microchips.html



Sanctioned China firms creating front companies to acquire AI chips, says report - new firms pop up faster than the U.S. ban hammer can strike | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/tech-industry/sanctioned-china-firms-creating-front-companies-to-acquire-ai-chips-says-report-new-firms-pop-up-faster-than-the-us-ban-hammer-can-strike



軍事技術への転用を防ぐため、アメリカは中国に対する最新の半導体の輸出を規制しています。メーカーもこの規制を破っているわけではないのですが、実態として、中国には最新の半導体が輸出されている事実があることが報告されていて、The New York Timesは、GPUの取引総額は1億300万ドルにものぼると述べました。

手法の1つとして用いられているのは、それとわからないような中国政府関連の企業が取引を行うことです。たとえば、NVIDIAが直接、中国の国有企業や関連企業に製品を販売しているわけではないのですが、取引先のそのまた取引先がどうなっているかまで完全に把握することは不可能なため、最終的に、中国政府の関連する企業に届いている可能性が十分にあります。

またもう1つの手法として、「輸出制限の対象企業になる前にチップを手に入れてしまう」という方法もあるそうです。たとえば「Sugon」という企業は中国軍とのつながりが確認されたためNVIDIAのチップを購入することを禁止されました。すると、Sugonの元幹部がNettrixという会社を新たに立ち上げて、わずか6カ月で中国最大のAIサーバーメーカーとなり、NVIDIAやIntel、Microsoftのパートナーになっているそうです。このケースは、会社が新しいためにアメリカ政府の調査が行き届かなかった可能性がある事例で、NVIDIAなどは取引を行っていますが、法律を破ったわけではありません。

ニュースサイトのTom's Hardwareは、いたちごっこをなんとかする唯一の方法として、認可されたバイヤーだけがチップを合法的に調達可能なホワイトリスト方式を挙げていますが、業界はアメリカ企業にとって百害あって一利なしの厳しい規制に反対するロビー活動を展開しており、導入は難しそうです。