男子800メートル予選で先頭を走るマルコ・アロップ【写真:Getty Images】

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ブダペスト世界陸上

 ブダペスト世界陸上で生まれた仰天の行動で世界の陸上ファンがほっこりとしている。22日(日本時間23日)に行われた男子800メートル予選、自動的に準決勝進出が決まる3着以内を確信した1着選手が走りながらゴール前で2着選手に手を差し出し、ハイタッチを交わした。中継した米国の実況席も驚き、笑って称賛の声を上げた名場面を、世界陸連も公式SNSでこの様子をシェア。「スポーツの持つ意味を聞かれたらこの写真を見せる」と反応が寄せられた。

 男子800メートル予選で起きた一瞬の出来事が反響を広げている。

 まさかの場面は最終7組で起きた。レースはラストスパートで上位が絞られ、最後の直線で先頭を走っていたマルコ・アロップ(カナダ)は残り20メートルあたりでスピードを緩め、突然、振っていた右手を隣に差し出した。そこにいたのは2着のシモーネ・バロンティニ(イタリア)。バロンティーニは驚きながらも笑顔でハイタッチを返し、さらに後ろにした3着ヤニス・メザニ(フランス)も健闘を称えるようにバロンティニの肩にタッチした。

 そのまま3人はゴールを駆け抜け、アロップが1分45秒05で1着、バロンティニが1分45秒21で2着、メザニが1分45秒30で3着で、そろって準決勝進出を決めた。世界陸連公式X(旧ツイッター)は「我々が見たいもの」と題して、まさにアロップとバロンティニがハイタッチを交わす様子を写真で公開。目の当たりにした世界の陸上ファンから多くのコメントが相次いでいる。

「アスリートコミュニティにとって美しい瞬間だ!」
「最高だね」
「アロップとハイタッチした後の笑顔が良いよね」
「スポーツの持つ意味を聞かれたらこの写真を見せる」
「アロップは練習みたいに走ってしまったな」
「後ろで歯を食いしばっている選手がいるのに前の2人は飲みに行く約束でもしてるみたいだ」

 米放送局「NBC」のストリーミングサービス「ピーコック」中継でも2012年ロンドン五輪400メートル女王サーニャ・リチャーズロス氏が「リチャーズロス氏はさらに「最高ですね。この仲間意識が大好きです。なかなか見られない瞬間ですよ。十種競技などでは見られますけれど、短中距離ではないですよね」と評した珍しいシーン。こうした出来事も世界陸上ならではかもしれない。

(THE ANSWER編集部)