上海アリス幻樂団の同人作品群「東方Project」の初期5作品は、PC-9800シリーズのマシンで動作するゲームとして開発されていました。初期作品は記事作成時点では入手が困難になっているのですが、現存するゲームをリバースエンジニアリングしてソースコードを再現しようとするオープンソースプロジェクト「The Touhou PC-98 Restoration Project(ReC98)」が海外有志によって進められています。

GitHub - nmlgc/ReC98: The Touhou PC-98 Restoration Project

https://github.com/nmlgc/ReC98

1996年から1998年にかけて開発された東方Projectの初期5作品「東方靈異伝 〜 The Highly Responsive to Prayers.」「東方封魔録 〜 the Story of Eastern Wonderland.」「東方夢時空 〜 The Phantasmagoria of Dim.Dream.」「東方幻想郷 〜 Lotus Land Story.」「東方怪綺談 〜 Mystic Square.」は、PC-9800シリーズ向けに開発されたゲームソフトです。初期5作品は記事作成時点では入手が非常に困難となっており、2020年には初期5作品をまとめたCDが税込198万円という超高額で販売されたものの一瞬で購入されたことが話題となっていました。

また、東方Projectのゲームといえば画面全体が弾幕で埋め尽くされるシューティングゲームを思い浮かべますが、第1作の「東方靈異伝 〜 The Highly Responsive to Prayers.」はブロック崩しのようなゲームシステムでした。実際に「東方靈異伝 〜 The Highly Responsive to Prayers.」をプレイする様子は、以下のムービーで確認できます。

【東方旧作プレイ動画】東方靈異伝 〜 Highly Responsive to Prayers - YouTube

ReC98は、PC-9800シリーズ向けに開発された東方Project初期5作品をリバースエンジニアリングして、ソースコードをオープンソースで公開することを目指すプロジェクトです。東方Projectを再現するプロジェクトとしては「東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.」を再現した「PyTouhou」なども存在していますが、ReC98はPC-9800シリーズでそのまま動作するソースコードを目指してる点が特徴とのこと。

一般的に、ゲームのリバースエンジニアリングには膨大な時間がかかりますが、これまでの分析から初期5作品には「MASTER.LIB」「組込み用Piロードライブラリ for PC-98」「Borland C/C++ランタイムライブラリ 4.0」などのライブラリが使われていることが判明したとのこと。初期5作品のソースコードの一部は上記のライブラリで構成されているため、ライブラリを用いることでリバースエンジニアリングの工数を大きく削減できます。

ReC98は進行中のプロジェクトで、記事作成時点ではリバースエンジニアリングが完了したゲームは存在しません。プロジェクトチームは「プロジェクトは今のところ順調に進んでいますが、たった1本のゲームでもリバースエンジニアリングには長い時間がかかります。どんな助けも歓迎します!興味がある場合はガイドラインを読んでプロジェクトに貢献してください」と述べ、プロジェクトへの参加を呼びかけています。