よりによって一番難しい相手が、待ち受けることとなった。
 カタールW杯の大陸間プレーオフは、アジア5位、南米5位、北中米カリブ海地区4位、オセアニア地区代表の4チームが出場する。アジアからは最終予選の3位チームが一発勝負に挑み、勝者が大陸間プレーオフへコマを進める。

 その組合せが決まった。
 今回はアジア対南米の構図となった。

 森保一監督率いる日本代表は、11月の連戦を経てグループ2位に浮上した。W杯出場のストレートイン圏内へ入ってきたが、首位のサウジアラビアには勝点4差をつけられている。一方で、3位のオーストラリアとは勝点1差だ。上位3チームは直接対決を残しており、まだまだ動きがあってもおかしくない。

 個人的な思いを明かせば、プレーオフは心の拠りどころになっていた。グループ2位以内の確保は譲れないが、3位でも希望を抱くことはできる。プレーオフはホーム&アウェイで争われることになっていたので、「ホームで勝ってアウェイで引分ける」というシナリオを描くことができた。

 ロシアW杯のアジア最終予選で第5代表となったオーストラリアは、大陸間プレーオフで北中米カリブ海地区4位のホンジュラスと激突した。前横浜F・マリノス監督のアンジェ・ポステコグルーに率いられた“サッカールーズ”は、アウェイゲームを0対0でしのぎ、ホームで3対1の勝利をつかんだ。最終予選で日本とサウジアラビアの後塵を拝し、ロシア行きが危ぶまれたオーストラリアだったが、プレーオフで大団円を迎えたのだった。

 14年の大陸間プレーオフは、ヨルダンがウルグアイに挑んだ。アンマンでのホームゲームで0対5の大敗を喫した時点で、ヨルダンのブラジル行きはジ・エンドだっただろう。モンテビデオでの第2戦はスコアレスドローに終わるが、ウルグアイが地力の差を見せつけたのだった。

 南米との対戦さえ避けることができれば、プレーオフで出場権をつかむことはできる──楽観的かもしれないが、非現実的ではないはずである。そう考えるのは、僕だけではなかっただろう。

 しかし、プレーオフにより大きな希望を抱くことになったのは、アジア地区ではなかった。北中米カリブ海地区とオセアニア代表に(おそらくはニュージーランド)は、お互いの戦いぶりを気にしながらも、「チャンス到来」との思いを膨らませているだろう。

 大陸間プレーオフはこれまでのホーム&アウェイではなく、一発勝負に変更となった。コロナ禍でスケジュールが圧縮された影響だ。

 開催地は中立地カタールが予定されており、日本にとっては馴染みのある環境と言える。とはいえ、それがアドバンテージに成り得るかと言えば、首肯する人は少数派に違いない。

 日本のサポーターでスタジアムが埋め尽くされるのならともかく、収容人数に限りがあるか無観客での開催が現実的だ。格上に挑む立場からすると、声援の後押しを受けられないのはマイナス材料と言わざるを得ない。

 南米予選は全18試合のうち14試合までがほぼ終了し、ブラジルとアルゼンチンが予選突破を決めている。3位はエクアドル、4位はコロンビア、5位はペルーで、6位にチリ、7位にウルグアイとなっている。激戦の南米予選らしい混戦だ。どの国と対戦することになっても、難しい試合になる。

 森保監督のチームは、南米勢と何度も対戦してきた。ウルグアイ、パラグアイ、ボリビアに勝ったが、コロンビアに敗れ、ベネズエラには1分1敗だった。対戦相手の熱量がそのまま試合結果に表れており、ウルグアイに4対3で打ち勝った試合よりも、ベネズエラに勝てなかった事実が重い。そして、真剣勝負の熱量で日本を退けたベネズエラは、南米予選で最下位に沈んでいるのだ。

 最終予選のグループBで2位に浮上し、日本は残り4試合を迎える。1月27日の中国戦、その4日後のサウジアラビア戦への準備として、1月21日にウズベキスタンとテストマッチを行なうことも決まった。今後も1敗も許されない状況は続く。2位以内の確保に、全力を尽くさなければならない。