山下崇博容疑者(産総研・出版物より)

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「摘発されたのはいずれも『FC2コンテンツマーケット』で動画販売していた男たち。かねて問題視されていた米国の動画サイトを隠れ蓑とし、作品にモザイクをほとんどかけず売りまくった。チェック機関の審査もなく、野放し状態だったためメスが入ったかたち。それにしてもこれほど稼いでいたとは……」

【写真】山下崇博容疑者が撮影時に使用したと思われる“グッズ”

 と全国紙社会部記者は絶句する。

 わいせつな行為を撮影した自作動画を十分に修正せず販売したとして茨城県警は11月19日、つくば市内に住む産業技術総合研究所の主任研究員・山下崇博容疑者(40)と守谷市の無職・柴田恒一容疑者(47)をわいせつ電磁的記録等送信頒布の疑いで逮捕した。

 同県警生活環境課などによると、昨年12月ごろから今年9月ごろまでの間、インターネット上の海外動画販売サイトを利用して、わいせつな動画を不特定の人に複数回にわたって販売した疑い。

すべて本人が出演していた

「山下容疑者は2017年11月ごろから約250作品をアップロードし、計約1億8000万円を売り上げていた。柴田容疑者は2017年7月から約350作品で計約1億1200万円の売り上げ。山下容疑者はすべての作品に自分が出演し、撮影と動画編集、販売まですべてひとりでこなしていた。柴田容疑者も自分で出演していたが、男優を依頼して撮影することもあった」(捜査関係者)

 背景には、インターネットの普及により、店舗や販売ルートを持たずとも個人間で売買するスタイルが確立したことがある。撮影機器の高性能化も進み、専門技術がなくてもプロ並みの動画をつくりやすくなった。アダルトビデオ(AV)業界の水面下では、闇に紛れるように無修正のいわゆる“裏ビデオ”がネット上で取引されている。

 山下容疑者は、

「販売したことは間違いないが、映像を粗くしてアップロードしたのでわいせつの認識はなかった」

 と容疑を否認。

 柴田容疑者は、

「お金を稼ぐためにわいせつ動画を販売していた」

 と容疑を認めている。

 一斉取り締まりによる同容疑で同じ日、警視庁は新宿区の会社役員・福田茂人容疑者(36)、足立区の海上自衛隊員・星将人容疑者(32)、同区のカメラマン・木内峻容疑者(36)を逮捕。

 愛知県警は名古屋市の自称自営業・田渕友浩容疑者(38)、同市の会社役員・廣井朗弘容疑者(43)を逮捕した。

「逮捕された7人の売り上げ総額は約4億7000万円にのぼる。1本あたりの単価が数百円の作品もある中、ダントツに稼いでいたのは山下容疑者だった」

 と前出の記者は話す。

 山下容疑者は、社会的立場をみても出色の存在といえる。

 勤務先の産業技術総合研究所(つくば市=以下、産総研)は、世界最高水準の研究を推進する特定国立研究開発法人。国内最大級の公的研究機関として産業や社会に役立つ技術の創出と実用化に取り組み、事業化につなげる橋渡し機能を持つ。全国11か所の拠点で約2300人の研究者がしのぎを削るエリート中のエリートだ。

 学歴も申し分ない。2008年に東京大学工学系研究科(精密機械工学専攻)を修了、'12年に東大大学院の同専攻を修め、工学博士として卒業した。'13年4月に産総研に採用され、'17年には主任研究員に昇格している。

 仕事ぶりはどうだったのか。

「道路や橋などの大型建造物の劣化診断や、不良箇所の点検を行うインフラ(社会基盤)のモニタリングの研究開発を行っていました。損傷や破損を防ぐ公共安全性向上に資するものです。これまで問題なく業務を遂行しており、特に不審な点は見受けられませんでした」(産総研報道室)

 しかし、想像を絶する裏の顔を持っていた。

下品すぎるハンドルネーム

 自分で創り出した愚劣なキャラクター「孕ませマン」をハンドルネームにやりたい放題。作品中は覆面をかぶり、避妊しない性交渉を謳ってセールスしていた。

《「外に出して…」と懇願されるも××に勝手に無許可××!18歳で顔出し孕ませAVデビューで完全に人生終了》(※一部伏せ字にしています)

 などと醜悪な売り込み文句をSNSでつらつら。作品ごとに説明文をつけ、出演女性について「人生終了」と決めつけるパターンだった。

 購入者から、ヌードだけでなく着衣やコスプレを使っている点を評価されると、

《オヂサンも個人的にはオールヌード派ですが、それだけだと映像的にも物足りないので女の子の私服やエロコスも多用してます笑》

 と調子に乗ることも。

 顧客サービスの一環か、「ファン感謝祭」と銘打って男優を募集することもあった。

月平均5作品とハイペース

 相手女性はSNSで募集。拘束3時間のギャラは当日手渡しで「〜100」と上限100万円をにおわせていたが、1作品あたりの平均売り上げは72万円。そこまで払っていない可能性があるが、月平均5作品以上をつくり上げるハイペースだった。

《彼女いない歴=年齢の残念なオヂサンデス。趣味はオヂサンらしく温泉巡りカナ。一緒に行ってくれる可愛い女の子募集中。なんちゃって》

 と気味が悪い。

 業界関係者によると、産総研研究職の平均年収は1000万円程度で、お金に困って違法行為に手を染めるとは考えにくいという。

 自宅は築3年の小規模賃貸マンションで家賃は月約7万〜11万円。国産ハイブリッドカーで通勤し、派手な生活とは無縁だった。

 近所の住民が打ち明ける。

「どう見ても独身のおじさんなのに、20歳前後に見えるゴスロリファッションの女の子と自宅から出てきたことがあって驚いた」

 本人は作品セールスに、

《もともと愛人やセフレとのハメ撮りの延長で販売を始めたにすぎない》

 と記している。

 前出の産総研報道室は、

「職員の逮捕でお騒がせして申し訳ありません。逮捕後の面会では、本人は反省している様子でした。今後は警察の捜査に全面的に協力するとともに、事実関係が明らかになり次第、厳正に対処します」

 山下容疑者は見果てぬ夢をこう綴っている。

《オヂサンも人生ラストは、気心の知れた仲間たちとエロ動画や大人のおもちゃをたっぷり積んだ船『好色丸』に乗り、遊女だけが住む『女護島』目指して行方知れずとなり伝説化するのが夢!》

 東大大学院卒のエリート研究員の知性など微塵も感じさせない低俗な夢だった。