東京2020のバトミントンをホログラムで観戦、次世代のパブリックビューイングはこうなるかも

2021年7月30日、東京・青海の日本未来科学館で「TOKYO 2020 未来のスポーツ観戦プロジェクト 〜次世代臨場感テクノロジー実証プログラム〜」と題したデモンストレーションが報道陣に公開されました。

このプロジェクトは、遠隔地でもその場にいるような「臨場感」「一体感」を生み出す新しいスポーツ観戦のあり方を目指した試みです。日本未来科学館が主催、技術協力をNTTが担当しています。

このプロジェクトは、大きく2つの臨場感体験プログラムに分かれており、ひとつはリアルタイムの「ホログラフィック映像」、もうひとつが「ドーム映像」のライブ配信、という内容。どちらもスポーツ競技の中継としては史上初の試みです。

当初は、これらのプロジェクトは一般参加者を招いてのライブビューイングが計画されていたのですが、新型コロナの感染拡大を防ぐという観点から中止となり、メディアのみの公開となりました。

これまでの、ただの大スクリーン映像中継とはひと味違う、「超高臨場感」といえるだけのライブビューイング技術を観てきましたので、(Web上でですが)ぜひ読者のみなさんにもご体験いただきたいと思います。

▲会場となった日本科学未来館

これは凝ってる! 三次元ホログラムの選手達が熱戦を繰り広げるバトミントン!

まずは、バドミントン競技のリアルタイムホログラフィック映像ライブから。

東京2020オリンピックのバドミントン競技は、調布市にある「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で行われているのですが、これを40kmほど離れた未来科学館で同じ臨場感で観戦しようというものです。

そのために、日本未来科学館内に、「武蔵野の森」の競技会場と同サイズ、同様のポールを立てネットを張った実物大のコートが作られ、観覧者は競技会場と同様に作られた観客席に座ります。会場が(映写のため)暗い以外はほぼ競技会場をそのままそっくり模写してビューイング会場が作られているわけです。

▲こちらはNTTのプレスリリースから。ライブビューイング会場に競技場そっくりのコートを仕立て、ホログラフィック映像を映します。

そして、競技が始まると、武蔵野の森にあるバドミントン会場に設置されたカメラの撮影画像からNTTが開発した超高臨場感通信技術「Kirari!」を使用し、選手やシャトルの映像を抽出し、リアルタイムで伝送されます。

また、映像をコートに投影する際、俯瞰観戦型多層空中像表示技術を用いることによって、手前の選手は手前に、奥の選手は奥にと試合会場と同じ位置で表示されます。

「俯瞰観戦型多層空中像表示」とは、簡単にいうと「上から見下ろす」ことを前提として「複数の像を」「ホログラムで立体的に像を表示する」ということです。つまり、遠隔会場のコート内には、武蔵野の森総合スポーツプラザの会場同様に選手達が立体的に、試合会場にいるのと同じような位置で同じような動きをし、同じようにシャトルが飛んでいるように表示されるわけです。

バドミントンの試合会場にいるのと同じように上階の観客席に座っている観客からは、ホログラム映像の選手達がさながら、試合会場で走り、跳ね回っているように見えるというわけですね。

動画で観てもらうとわかりやすいかも。こんな感じです。