奈緒さん

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 映画「みをつくし料理帖」で主人公の幼なじみ役を演じる女優の奈緒さん。

 大坂の大洪水で両親を亡くした澪(松本穂香さん)は、幼なじみの野江(奈緒さん)と生き別れになってしまいます。月日がたち、澪は江戸の蕎麦処(そばどころ)「つる家」の店主に助けられ、料理の才能を見いだされて女料理人として働き、店の看板料理を作っています。ある日、澪は吉原・翁屋の又次(中村獅童さん)から、吉原で頂点を極める、あさひ太夫・野江のために看板料理を作ってほしいと頼まれ…高田郁さん(「高」は「はしごだか」が正式表記)による同名時代小説の映画化です。

 オトナンサー編集部では、奈緒さんにインタビューを実施。気持ちの作り方や太夫の所作、劇中の料理などについて聞きました。

角川春樹監督「自分を信じて

Q.時代劇はお好きですか。

奈緒さん(以下敬称略)「すごく好きで憧れがありました。小学校の頃、漫画で太夫の生きざまを描いたものがあり、かっこいいなと思いました。少し官能的な部分もあり、大人の恋愛に胸が切なくなりました。それまで読んでいた、キラキラした少女漫画とは全然違う恋の話なのに初めて涙が出てきて、ファンタジーのような、今の時代とは違う切なさとかそういうものに胸を打たれました」

Q.角川春樹監督から表現力を評価されたそうですね。

奈緒「角川監督から本当にたくさん、お褒めの言葉を頂きました。私はこれでいいのかと不安になっていたとき、そのことが角川監督の耳に入ったそうで、『本読みをしたとき、脚本を理解していることが伝わったから自分を信じて』と言われました。角川監督が認めてくださった、そのときの自分を信じて演じようと思いました」

Q.松本穂香さんとの共演シーンが少なかったですが、気持ちの作り方はどうされましたか。

奈緒「同じシーンがなかったからこそ、準備することもないと思って、すごく自然に再会できたという気持ちにさせられましたし、演じやすかったです」

Q.松本さんと共演されて感じたことはありますか。

奈緒「濃厚な時間を過ごさせていただいたので、最後のシーンはものすごく強烈に自分に残っています。何だか勝手に出会うべくして出会った気がしていて、きっとこれから先も『戦友』でいてくれるなと感じています」

Q.太夫を演じたかったと資料にありましたが、実際に演じていかがでしたか。

奈緒「憧れていて、キラキラしていて、自分の中で大スターというイメージでした。でも、いざ演じると、こんなに寂しい気持ちを持っている人なんだと感じました。すごく切ない気持ちや言いたいことも言えなかったり、なんでこんなに苦しいんだろうと思いながら演じました」

Q.角川春樹監督の最後の監督作品です。

奈緒「緊張しました。角川監督の最後の作品に25歳の私が出られたことは、自分に訪れた幸運です。きっと、その席は限られた数だと思いますし、役との巡り合わせが自分にきたのは光栄ですし、今後の自分の仕事に対する姿勢や覚悟にもつながりました。役者としても、この作品と出会えたことは覚悟につながりました」

Q.ドラマ「あなたの番です」での演技が評価されましたが、それ以降の仕事に変化はありましたか。

奈緒「私の中では変化はないのですが、前にご一緒したスタッフさんと、また仕事をすることが増えました。数年前の自分を知っている俳優さんやスタッフさんが今の私を見て、『成長したね』『度胸がついてきたね』と言われるようになり、自分が知らないうちに、皆さんに鍛えていただいた部分がたくさんあったと感じます。

また、初対面の方が私の作品を見てくださっていることが多くなり、期待されていると感じることが増えました。今でも緊張はしますし、自分ではそんなに変わっていない気がするのですが、緊張や不安との付き合い方がうまくなったのかなと思います」

Q.理想の女優像を教えてください。

奈緒「生活を大事にしている女優さんに引かれますし、自分もそうなりたいと思っています。画面にはその人自身の表現や内面がにじみ出ると感じるので、役者以前に人として成長していきたいです」

 映画「みをつくし料理帖」は10月16日から全国公開。