ヤクルト戦4回途中で降板する巨人の澤村拓一投手

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 9月7日、巨人の澤村拓一投手(32)とロッテの香月一也内野手(24)のトレードが発表された。注目を集めたのは2人の年俸である。何しろ澤村は1億5400万円、一方の香月は650万円。その差1億4750万円の“格差トレード”だったからだ。

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 澤村は今季、1軍で1勝1敗、防御率6・08と低迷し、7月26日に登録を抹消。2軍降格後の8月7日、DeNA戦では同点の8回に登板し、3四球4失点。8月11日には3軍へ。3軍では大学生との試合に4回登板し無失点に抑えたため、9月1日に2軍に昇格していた。ドラフト1位投手の突然のトレードに、驚いたプロ野球ファンは少なくないはずだ。

 一方の香月は、大阪桐蔭高校3年の時に夏の甲子園に出場。3番三塁手で先発して打率4割4分4厘とチームの優勝に貢献した。2014年にドラフト5位でロッテへ入団。1軍には通算47試合に出場して打率1割7分5厘、1本塁打、5打点と、あまり結果を出していない。今季は2軍で43試合に出場し、打率2割8分6厘、5本塁打、イースタン3位の27打点をマークしていた。

ヤクルト戦4回途中で降板する巨人の澤村拓一投手

レンタルトレード

 お分かりのように、年俸だけでなく、実績でもかなりの差がある。どうしてこんなトレードが成立したのか。

「これは、レンタルトレードですね」

 と解説するのは、巨人OBで野球解説者の関本四十四氏。

「香月は、オーソドックスなタイプの左打者です。巨人は、亀井善行、丸佳浩、重信慎之介、立岡宗一郎と層が厚い。そう考えると、今回はやはり澤村のためのトレードということでしょうね」

「澤村を3軍に落としたのは、気分転換させることが目的でした。練習ではボールも握らせない、シャドーピッチングも禁止されていましたからね。今回のトレードは武者修行的な意味合いがあります。かわいい子には旅をの心境ですね。環境を変えることで、立ち直らせようということでしょう。ですから、うまく復活できたら、最終的にはまた巨人に戻すというシナリオも描いているかもしれません」(同)

 なぜ、“レンタル”なのか。

「澤村はドラフト1位で巨人に入団していますから、契約書にはサイドペーパー(別契約)があります。現役を引退したら、コーチなどで巨人の仕事をしてもらうという内容です。原監督の後任は、阿部が昇格するのは規定路線ですから、その時は澤村に戻ってもらう考えだと見ています」(同)

スライダーを武器に

 今回のトレードは、ロッテから持ち掛けられたようだ。

「ロッテは首位を走るソフトバンクと優勝争いをしていますから、彼の出番も多くなるはずです。6回、7回、8回で投げさせるパワーピッチャーが欲しかったのでしょう。彼は適役ですよ」(同)

 ロッテには唐川侑己、ハーマン、益田直也と盤石な抑えが揃っている。澤村はその一角に食い込む可能性もあるのか。

「150キロを超えるストレートは力があります。それに彼はあまり投げないのですが、アウトコースに決まる140キロ台のスライダーがある。ストレートのように見えて急に曲がるこの球に、パリーグの打者は戸惑うのではないでしょうか」(同)

 澤村はロッテの入団会見で、「やっぱり真っすぐで勝負」と発言している。

「ストレートによほど自信をもっているのでしょう。見逃し三振や空振り三振というきれいな三振をとりたいから、ストレート中心のピッチングになっている。彼はストレートでカウントを取って、最後はフォークで三振を狙っていますが、制球が乱れて四球になることが多い。もっとスライダーを使うべきなんです。これを武器にすれば、結果が出てくるでしょう。パリーグは、セリーグに比べるとフルスイングする打者が多いので、澤村には向いているのかもしれません」(同)

 ロッテは、9月6日時点で首位ソフトバンクとのゲーム差は0・5。シーズン終盤に向けて、優勝争いがし烈になってきた。

「澤村にとっては、千載一遇のチャンスです。戦う場を与えてもらったのだから、そこで役に立たない、貢献できないのであれば、男じゃないね」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年9月9日 掲載