国内外のクライアントとの会話に欠かせない「教養」。ある程度は知っておきたい自国の歴史や哲学、文化、そして最新の世界常識などを見直すための教養本を厳選。知性と教養にあふれたスマートな会話で、相手に「さすが」と思わせよう。

■ワインは世界のエリートの共通語

『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』
渡辺順子●ダイヤモンド社/1600円

ビジネスの場でのコミュニケーションで、おおいに役立つのがワインの知識だ。大手オークションハウス「クリスティーズ」NY支社で、アジア人初のワインスペシャリストとなった著者が指南する、ワイン初心者でもわかりやすい世界の醸造地と一流ワインについての解説本。

■現代の世界を取り巻く常識をわかりやすく

『おとなの教養2〜私たちはいま、どこにいるのか?』
池上 彰●NHK出版新書/850円

新聞やテレビの報道をより深く理解できるようになる「おとなの教養」シリーズの第2弾! 「教養とは『立ち止まって考える力』」と語る池上彰が、AIとビッグデータ、キャッシュレス社会、民族紛争、地政学、ポピュリズムから日本国憲法まで、今、知っておくべき6つのテーマを解説する。

■初心者にもわかるビジネスに効く歌舞伎

『ビジネスマンへの歌舞伎案内』
成毛 眞●NHK出版新書/740円

日本人として押さえておきたい歌舞伎の三大名作をはじめ、歌舞伎の常識など、歌舞伎の「面白がり方」と「効能」をわかりやすく案内。元マイクロソフト日本法人社長の著者が20年を超える観劇経験をもとに、ビジネスパーソンが知っておくべき歌舞伎の魅力を解説する。

■吉川英治の名著からビジネス術を学ぶ

『新装版 三国志』全5巻
吉川英治●講談社文庫/(1・2)1100円、(3)933円、(4・5)1000円

ビジネスパーソンに高い人気を誇る中国の歴史書『三国志』を吉川英治が生き生きと描く名著。2世紀末、魏・呉・蜀を率いる3人の君主を主人公に壮大なドラマが繰り広げられる。現代のビジネス論や組織論に通じ、幅広い世代に人気。

■本物を知る粋人、白洲正子の風雅な世界

『私の百人一首』
白洲正子●新潮文庫/590円

当代一の目利きと呼ばれた白洲正子が、愛蔵の元禄(げんろく)かるたの美しさをめでつつ、日本古来伝わる“和歌”の魅力を語る。一首一首の読みどころや歌の背景、日本の和歌の歴史を知ることで、みやびやかな世界に思いをはせることができる。

■伝統芸能・落語から人の心をつかむ

『ビジネスエリートがなぜか身につけている教養としての落語』
立川談慶●サンマーク出版/1400円

経営者や政治家、そしてビジネスエリートが聴いている落語。落語には人の心をつかみ、日本の文化・価値観、人間の本質を理解させる力がある。立川談志の弟子であり、慶應義塾大学卒、元ビジネスマンの落語家・立川談慶が、ビジネスに役立つ落語のいろはや名作古典を解説。

■世界の思想や芸術の源となる神話

『一冊でまるごとわかるギリシア神話』
吉田敦彦●だいわ文庫/700円

美しく壮大なギリシア神話。長い歴史の中で、美術作品はもちろん、世界中の思想、哲学、小説、建築、音楽、映画、ゲームなど、多くの分野で大きな影響を及ぼしている。世界中で語り継がれている神話からヒントを得て、現代社会のグローバルスタンダードをより深く理解したい。

■宗教を理解することで世界を理解する

『図解 世界5大宗教全史』
中村圭志●ディスカヴァー・トゥエンティワン/2200円

世界の歴史と今を理解するのに宗教は必須科目といえる。仏教、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンドゥー教の5大宗教は、多くの信者を持ち、世界の文化、政治、経済に大きな影響を与えている。これらの宗教の成り立ち、教え、相互の関係を歴史的に捉え、図解で解説する。

■日本人のアイデンティティーとは

『武士道』
新渡戸稲造・著/岬 龍一郎・訳●PHP文庫/495円

日本人のアイデンティティーとして、伝統的かつ精神的支柱となる「武士道」。1899年、新渡戸稲造が英文で発表した『武士道』は、世界的な大反響を巻き起こし、当時のビジネスエリートが絶賛。グローバル化が加速する現代においても、倫理観や道徳観の指針に。口語新訳で読みやすい。

■豊かな社会の実現を目指す、渋沢の言葉

『現代語訳 論語と算盤』
渋沢栄一・著/守屋 淳・訳●ちくま新書/820円

2021年の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公としても話題の渋沢栄一。生涯で約480もの会社設立に携わり、「近代日本の設計者」と呼ばれた渋沢の講演録として、トップ経営者に読み継がれてきた。「利潤と道徳を調和させる」という経営哲学から現代の生き方のヒントを学ぶ。

■利休が生み出した「佗び・寂び」の世界

『千利休 無言の前衛』
赤瀬川原平●岩波新書/840円

織田信長、豊臣秀吉に仕え、茶の湯を完成させた“茶聖”千利休。利休の生み出した「佗(わ)び・寂(さ)び」の世界を、映画『利休』のシナリオを執筆した赤瀬川原平が探るエッセイ。桃山時代の前衛芸術家ともいえる利休の思想から、現代にも息づくその精神性を読み解く。

■日本人として知っておくべき美の世界

『一目置かれる知的教養 日本美術鑑賞』
秋元雄史●大和書房/1700円

海外では高い評価を得ている日本美術だが、その価値を理解している日本のビジネスエリートは決して多くない。現代アートの著名な美術館館長を歴任してきた著者が、日本美術の歴史と18の作品を解説。日本美術を理解し、ジャポニズムの魅力をグローバルに伝える力を身につける。

■SDGsをキーワードに考える、今と未来

『2030年の世界地図帳』
落合陽一●SBクリエイティブ/1500円

グローバルな共通課題として注目のSDGs。マルチに活躍する落合陽一が、新しい経済とSDGs、未来への展望を世界のさまざまなトピックと関連付けて説明。データをもとにした地図を豊富に掲載し、今の日本の立ち位置、世界の状況を俯瞰(ふかん)しながら理解できる。

※価格はすべて税別です。

(工藤 千秋 撮影=小林久井(近藤スタジオ))