様々な憶測を呼ぶ「超人」の決断、長江実業グループの脱・中国が加速
今年5月に経営を長男の李沢鉅(ビクター・リー)氏に譲って第一線から引退を表明した時に、李嘉誠氏の個人資産は約340億ドル(約3兆7000億円)と言われた。李沢鉅氏の後継指名は2012年。十分な引き継ぎ期間を設けて権力の移譲を実施した。
長江実業グループの富の象徴とも目される香港島中心部にある73階建ての高層オフィスビル「中環中心(ザ・センター)」を402億香港ドル(約5900億円)で売却すると発表したのが2017年11月。香港のオフィスタワービルの売却では過去最高額の取引として注目された。
そして、李嘉誠氏が引退後の今年6月、オーストラリアのガス会社APAグループを約130億豪ドル(約1兆1000億円)で買収する計画が表面化。その直後に、英ロンドンの高級オフィスビル「5Broadgate」を10億ポンド(約1465億円)で買収したことを発表した。さらに、7月にはイタリアの携帯キャリア最大手のウィンド・トレ(Wind Tre)を24億5000万ユーロ(約3150億円)で完全買収すると発表している。
この一連の大型買収が、どのような意図を持ってなされているのかは明らかではない。単にグループを引き継いだ李沢鉅氏の旺盛な事業意欲の表れというわけではないだろう。オフィスビルの買収も、ガス供給会社、携帯キャリアも全てグループで行ってきた事業であり、経営ノウハウはある。中国の経済雀が詮索しているのは、「なぜ、中国以外の地域で大型買収に動いているのか?」ということだ。香港では、李嘉誠氏が示してきた抜群の経営感覚を尊敬して李氏を「超人」と呼ぶ。長江実業グループの大展開は、時代の大きな変化を予兆しているのだろうか?(イメージ写真提供:123RF)
