いい思い出ほど、なぜか記憶にない。

恋愛達人と名高い精鋭東カレ読者にデート取材を試みているが、思い出に残るような素敵な「ベストデート」よりネタに尽きないのは…。

―地獄のような最悪なデート。

果たして、東カレ読者の求める理想が高過ぎるだけなのか!?ワーストデートの全貌を聞いていく。




優子、25歳。食事会の相手は弁護士、医者、ときどき商社マン。


今回話を聞かせてくれたのは優子、25歳。広告代理店で営業をしている。コンサバティブなファッションに身を包み、女性らしい雰囲気の彼女だが、営業ウーマンらしく溌剌とした口調でこう語ってくれた。

「今婚活中で、色んな人とデートしているのですが、この間のデートはもう最悪で…。」

25歳という若さながら、しっかり戦略を立てて婚活をしていると言う彼女。普段の食事会の相手は、弁護士や医者がメイン。しかし、この間たまたま行った食事会の相手が商社マンだったらしい。

「商社マンはあまり眼中になかったのですが、その人は話が面白かったので、もう少し話してみたい、と思いました。」

弁護士や医者に狙いを定めながらも、その策だけに溺れることなく、しっかり人柄も見極めようとしていたようだ。

しかし、この商社マンとのデートが、彼女にとってまさかの「ワーストデート」になってしまったらしい。


エリート商社マンの彼が選んだデート先は…?


第一印象は好印象。品プリの水族館のあとに向かった先は…?


彼との出会いは恵比寿での食事会。総合商社勤務で29歳、独身。身長は低く、顔もタイプではなかったが、大阪出身でノリが良く、話が面白かったらしい。

隣の席になった2人は連絡先を交換。早速、翌週の土曜日にデートする約束をした。

「デート相手は弁護士さんとかお医者さんが多いので、ノリの良い商社マンは新鮮でした。」

そして、楽しみにしていたデート当日。彼と向かった先は、品川プリンスホテルの水族館。水族館に来たのは、小学生以来だった。

「天井一面で泳いでいる魚を見ていると、まるで海の中に潜り込んだようで、とても楽しかったです。イルカショーも見たのですが、可愛くてとても癒されました。」




童心に返ったかのように楽しんだ水族館。彼と一緒にいる時間はドキドキもあったが、それ以上に安らぎを感じたと言う。

水族館からの食事デート。これからまだ楽しい時間を過ごせると、この時は信じていたと言う。


カフェバーで休憩の一杯。そこでまさかの…?


1時間ほど水族館を楽しみ、出たのが17時過ぎ。19時からお店を予約していたらしく、「軽く飲んで行こうか」との彼からの提案で近くのカフェバーに入り、一杯ずつビールを頼んだ。

しかし、会計時に信じられない出来事が起きた。彼女が財布を出すと、彼は躊躇いもなく「350円」と手を出した。

「水族館代は彼が出してくれたので、この位はと思ったのですが、遠慮なく手を差し出してくる感じがちょっと…。」

テンションはだだ下がりしたが、気を取り直して向かった2軒目のお店は、何と五反田の焼鳥屋。彼の家の近くに美味しいお店があるらしい。

「初めてのデートで五反田。しかも家の近くなんて…。正直テンションガタ落ちでした。」

しかも、この店を選んだのは「俺、焼き鳥が大好きで」という理由。事前に食べたい物や、逆に苦手な物は一切聞かれなかった。


テンションが徐々に落ちていく優子。最悪なデートはまだまだ続く…


お会計はまさかのワリカン?しかも最悪な事態はそれだけにとどまらず…


地元民しか知らないようなその店の焼き鳥は、確かに味は良かったという。




「もう少しお洒落なレストランで食事したかったけれど、焼き鳥は美味しかったので我慢しました。」

しかし、あまり綺麗とは言えない焼き鳥屋。早々退散したいのが本音だったが、コースを頼んでいたため、たっぷり3時間ほどかかってしまった。

拷問のような時間を何とか乗り切り、会計の時間になった。伝票を見た彼は躊躇いもなく「4,500円のコースだったから、4,000円ね。500円は奢るわ」と手を差し出した。そのとどめの一撃で、彼女のテンションは地に堕ちた。

「お酒もそんなに飲まなかったので、お会計は2人で1万円ほどだったと思うので、ほぼ割り勘ですよね…。」

彼女は遠い目でこう語った。

そして、店を出ようとしたその時だった。

「今から家来ない?」

そう言って、手をつなごうとしたらしい。彼女はその手を振りほどき、全速力で五反田駅に向かった。

「自分の周りは8割既婚者でそろそろ自分も結婚したい、と初めて会ったときに言っていたのですが、残りの2割になっちゃった理由はソレだよ!と突っ込みを入れたくなりました。本当、最悪なデートでした。」

そして、このワーストデートには後日談があると言う。

デートから3日後に悲劇は起きた。

何と、彼と食べた鶏肉に当たり39度ほどの高熱が出て、5日間ほど寝込んだらしい。体力に自信があるという彼女は、滅多に体調を崩すことがなかったため、まさに踏んだり蹴ったりの状態。

彼女はそのデートを振り返り、こう語る。

「人によっては図々しいと思われるかもしれませんが、付き合うまでは奢って欲しいと言うのが本音です。初デートでワリカンってちょっとあり得ないですよね。しかも手をつなごうとしてきたし…。」

何かと物議をかもすデート時の会計事情。

しかし意中の子とのデート時は、「全額奢り」が鉄則だろう。

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