本塁打攻勢で好投手・小林を打ち崩し、明大明治が本大会進出!

先発・小林宗弘(都立桜修館)

  当初、この試合は両エースの投げ合いが予想された。柳澤 憲人は、昨秋、東海大高輪台相手に3失点完投。都立桜修館の小林 宗弘も昨年から経験十分の速球派右腕。

 1回表、都立桜修館が1点を先制したが、柳澤はここから持ち直す。球速は、130キロ台と突出して速いわけではないが、本人が意識している外角への出し入れができる投手で、コーナーギリギリに決まるコントロールが絶妙。さらにスライダーを低めに集め、ストライク先行でどんどん追い込んでいく、実にリズムが良いピッチング。経験豊富で、投手としての筋の良さ、危機回避能力、投手としての感性の良さは都内の投手でもハイレベルなものがある。あとは味方の反撃を待つだけであった。

 明大明治打線は小林の速球、キレのあるスライダーをなかなか捉えることができず、4回まで7三振と、小林のペース。昨年から131キロを計測していたが、その速球はより勢い、スピードアップが実現できており、スライダーの精度が格段に向上していた。いずれにしろ夏へ向けて注目投手に挙がる存在になるだろう。

 だが5回裏、先頭の柳澤の安打をきっかけに一死一、二塁のチャンスを作り、1番留畑 賢太郎(2年)がストレートを捉え、逆転3ランホームラン。さらに3番吉村の2ランホームランで5対1と点差を広げる。この一発攻勢はまだ終わらない。6回裏には1番留畑が二打席連続本塁打で7対1と点差を広げることに成功したのだ。昨年は完封負けを喫したように打撃が課題であったが、この半年で急速に力をつけてきた。

2本塁打を放った留畑(明大明治)

 明大明治はこの冬場、打撃強化に時間を割いて、1日700スイング〜1200スイングを欠かさず、行ってきた。その中でスイングの強さが出てきた。

 1番を打った留畑は昨年12月に肘の手術。冬場の強化合宿に参加できなかったようだが、2月から復帰し、振り込みの数を多くして、周りに追いつけるようにしてきた。

 この試合でも、いきなり小林から痛烈な遊撃内野安打。速球に対しても振り遅れないスイングの鋭さがあり、さらに速球に狙い球を絞り、的確にボールを捉えることができる目の良さがある。スイングスピード、打球の飛距離は中々のもの。全体的にライナー性が多い中距離打者だが、まだ2年生ということもあって、今後に期待が集まりそうだ。

 7回裏に6番守谷の適時二塁打でサヨナラで本大会進出を決めた。試合後、寺土博昭監督は「打撃強化はずっとテーマにしてきたことなので、それがこういう形出てきて嬉しいですね。それにしても本塁打3本は驚きでした」本塁打攻勢に驚きの様子だった。そして本大会では都立小山台と対戦する。安定したマウンド捌きが光る柳澤の投球に、そして冬に鍛え上げた打撃が発揮されれば、この春はシード権争いに加わっていくチームになるだろう。

(取材・写真=河嶋 宗一)

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