しかし、キャンプでイチローに弟子入りすると打撃技術が向上し、シーズン開幕後は、驚異的なペースでヒットを量産。一時は師匠イチローの持つシーズン安打記録262本を更新するのではないかと期待された。
 7月にスランプに陥り、一時は打率リーグトップの座から滑り落ちたが、ゴードンは8月に入って復調。
 現在は打率首位の座を奪い返しており、首位打者の最有力候補と見なされている。強みは全盛時のイチロー同様、いざとなればバントヒットで安打を稼げることだ。
 ゴードンが首位打者のタイトルを手にすることになれば、師匠の存在もクローズアップされることになり、イチローにさらなる付加価値が付くことになる。マーリンズに来たのはヤンキースから契約更新を拒否された末のことだが、結果的にこのチームに来たことは、いいことづくめになった感がある。

スポーツジャーナリスト・友成那智
ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。