マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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34打席無安打が続いたイチローに米メディア「ベンチの全員が応援」

 マーリンズイチロー外野手は8日(日本時間9日)、敵地でのレッドソックス戦に「9番・右翼」で先発し、35打席ぶりのヒットを放った。地元メディアは、キャリア最悪のスランプを抜け出したイチローのチーム内での人気の高さや、ようやく出た一本を喜ぶ同僚の姿についてレポートしている。

 この日も3回の第1打席は相手先発ポーセロの前に見逃し三振に倒れたイチロー。これで、メジャー自己ワーストの連続打席無安打は「34」まで伸びた。しかし、味方の4連打で2−4と2点差に追い上げ、なおも1死一、二塁のチャンスで迎えた4回の第2打席で、待ちに待った瞬間が訪れる。

 イチローが打席に入ると、マイアミでテレビ中継をしている「FOXスポーツ・フロリダ」の解説者は「イチローには高めのボールばかりで攻めています。外角には投げません。すべてのボールが内角です」と相手バッテリーの狙いを分析。すると、実況はレジェンドのメジャー最悪のスランプが、同僚の心配事となっていることを明らかにした。

イチローはクラブハウスとベンチでものすごく人気のある人間です。ベンチの全員が応援しています。この状況を打開して、ヒットを打つことを願っています」

 ここでイチローが1ボール1ストライクから92マイル(約148キロ)の高めの速球を叩く。ボールはフラフラと舞い上がり、左翼手、中堅手、遊撃手の間にポトリ。実況は「イチローは左中間に打球を送る。落ちる。ヒットです。イチローは揺らめく左中間への当たりによって連続無安打を29打数で止めました」と伝えた。

6月18日のヤンキース戦以来となる35打席ぶりヒットに同僚も拍手

 6月18日のヤンキース戦以来となるイチローの1本にベンチも湧いた。中継では、ボーアやバルデスピンらチームメートが拍手を送って喜ぶ姿を捉え、実況も「見てください。ベンチもイチのヒットを愛していますね」と語った。

 背番号51のスランプにチームは心を痛めていたという。ダン・ジェニングス監督が前日の試合後、「イチローとスランプという言葉を一息で言うことは難しい。彼は自分のスイングを取り戻すだろう。スイングに関しては、イチローよりも理解している人間なんていないんだ。我々は彼の奮起を完全に期待している」と語ったことを地元メディアは伝えていた。

 イチローがバットの湿り気を拭い去り、チャンスを広げた4回は大量得点のチャンスに。実況は「マーリンズには今、スピードがあります。イチローが一塁で、打席にはゴードンです」と連打を期待したが、後続は倒れて同点に追い付くことはできなかった。

 その後、7回の第3打席では相手の中継ぎ左腕ロスに投ゴロに打ち取られ、9回の第4打席は上原浩治投手の前にセンターフライに終わった。

 この日は4打数1安打で打率2割4分6厘。マーリンズも3−6で敗れたが、レジェンドがトンネルを抜け出したことは、チームにとっても朗報と言えそうだ。