この記事がそれなりに反響があり、概ね好評な感じだったので、こちらの記事で触れられなかった部分について増補的なものをば。個人的にGK、DF、MFについてアレに付け足すものはないんですが、FWについて指宿落選に触れてませんでした。

 戸塚啓さんが書いておられますが、指宿の落選については僕も残念に思ってます。ただ「継続性」という部分については、フタを開けてみるまではわからないかなと。練習を見に行けるわけでもないですし、11日のニュージランド戦である程度は確認できるとは思いますけれども、宮市や指宿を入れなかったことよりも「大迫を落とした」ことのほうが、ポストプレイヤーの必要を感じていないというメッセージになってるんじゃないかと。

 永井謙佑、大津祐樹、齋藤学、杉本健勇というFWのメンツのうち、永井は明らかに裏抜け、齋藤はどちらかというとサイドハーフ、大津もやはり裏抜けとドリブルが得意で、杉本も高さはありますが得意なのはむしろ裏抜けだと思います。

 大迫や指宿といった、まあ指宿がそんなにポストが得意かはわかりませんが比較的ポストになる選手を落としているのは、FWに長いボールを当てるよりは裏を狙う、ボールポゼッションをするにしても深みを持たせる、つまり相手にスピードで脅威を与える部分を重視しているかと。永井は言うまでもなく、杉本も足はすごく速いので。

 福岡大の乾監督が教え子・永井を評して「試合展開に関係なくゴールを奪う」という趣旨のことを言っていますが、実際永井は例えば2011年6月1日のU−22オーストラリア戦でそういうゴールを奪ってます。ボコボコに攻め込まれる展開から、一瞬のスキを突いて得点を奪ったシーンですね。0:56あたりです。
 
 
 
 このゴール1発で流れを引き寄せ、後半に日本は永井と、永井のアシストから大迫が得点して勝ってます。まあ親善試合なので相手はユルいんですけど、アジア予選でも1−2で敗れたシリア戦で永井が一時は同点となるゴールを取ってますし、彼の特長はつまりそういうことで。
 
 相方になりえる大迫を外してるのは、1トップに求める役割が裏抜け、相手ラインへの牽制(深みを作る)、そこで清武弘嗣、宇佐美貴史、東慶悟といったタレントを使って攻めるという意図があるのかなと思います。そう考えると、(恐らく)永井の控えとして呼ばれたであろう杉本の役割も見えてくる気がします。

 まあメンバー発表だけ見ると詮ない話ですが、なにしろ本番が26日に迫っており、しかも相手は優勝候補筆頭のスペインです。いきなり、相手の負荷が上がります。一方で優勝を狙うであろう陣容(EURO王者からジョルディ・アルバとかマタとか出るんだよ!)である以上、初戦にトップコンディションであることは考えられません。チアゴ・アルカンタラやイスコはいますが彼らはシャビでもイニエスタでもないので、付け入るスキが全然ないとは思えません。

 日本はメダルを狙うなんて言えないと思うので、グループリーグ突破すれば大成功。とすれば、スペイン戦にピークを持ってくる可能性は十分あります。そこで日本が永井、宇佐美、清武といったメンツでカウンターを仕掛ければ、コンディションが上がり切ってないスペイン守備陣から得点することは十分ありえます。それだけの能力はあります。まあ、先に失点すればほぼジエンドですけれども。

 何にせよ、このメンバー選考はそんなに悪いものではないと思います。落選した選手を見ると確かに惜しいな、かわいそうだなと思う一方で「18人しか選べない」ってことはきちんと認識されるべきかなと。大迫にせよ宮市にせよ高木善朗にせよ指宿にせよ、23人枠なら呼ばれたに違いないと思うので。