例によってクソ忙しくてブログ更新する時間採れないんですけど、EUROも広島もしっかり見てますし、どっかでいろいろ更新します。まあその「どっか」が全然来ないんですけどね。。。

 えーと、五輪代表メンバーが発表になりました。なでしこのほうは別にサプライズもないし、そもそも普通の国際大会より5人も少ない「18人」という枠がある以上どうしてもポリバレントな選手が選ばれやすく、シングルタスクならばよほど突出した武器を持ってないと選ばれにくいということは理解しないといけません。そうしないと関塚さんへの批判も賞賛もあんま意味ねえ。

 で、そういう部分で見ていくとそれなりに理解できる選考かなと。
 
 http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/data/mem_u22.html

>GK
>1 権田 修一 1989.03.03 187cm 83kg FC東京
>18 安藤 駿介 1990.08.10 185cm 79kg 川崎フロンターレ


 まず、いきなりすごくわかりやすいのがココです。林彰洋がバックアップで、権田と安藤が選抜されました。これは実際のところ、林は「権田のバックアップ」であって「安藤の控え」ではないということですね。序列にすると権田>林>安藤>増田(選外)で、だからこそ林は連れていけないで待機組となる。実績的に正GK以外では呼べず、かといって権田も同様にサブには置けない選手。となると、チームの実績からいって権田がスタメンとなり、サブに置けない林はバックアップとなる。
 
 そういう理路なんだろうと思います。「わかりやすい」って書いたのは、そのやり方に賛成という意味ではもちろんないですよ。ただ、明らかに林のほうが安藤や増田より評価が高い、だからこそサブには置けないという事情は理解されるべきかなと。これは例えばトゥーリオがサブでは呼べない選手なのと同様です。

>DF
>2 徳永 悠平 1983.09.25 180cm 76kg FC東京※
>12 吉田 麻也 1988.08.24 189cm 81kg VVV(オランダ)※
>8 山村 和也 1989.12.02 184cm 75kg 鹿島アントラーズ
>13 鈴木 大輔 1990.01.29 181cm 78kg アルビレックス新潟
>4 酒井 宏樹 1990.04.12 183cm 70kg ハノーファー96(ドイツ)
>5 酒井 高徳 1991.03.14 176cm 74kg シュツットガルト(ドイツ)


 わかりやすい選考その2です。このチームはボランチ、CB、左サイドバック、そしてGKが弱点です。しかしその中でも「深刻度」はいくつかあり、左サイドバックには酒井高徳が台頭したのでメドがつき、ボランチは山口蛍が成長したのでまあOKと。で、そうなるとCBに吉田麻也、CB/SBの徳永をピンポイントで入れれば弱点はとりあえず埋まります。これはトゥーロンでメロメロにやられた比嘉、山村のプレーを見ての決断でしょう。

 比嘉の落選ですが、まあこれまで選出されてきた理由がオフザピッチにあることが濃厚なので、18人しか連れていけない中では戦力にならないという判断なのかなと。酷なことをするなあとも思う一方で、18人ですからねえ。

 山村は残っていますが、これは鹿島でのパフォーマンス(見てないですが)に加えCBとボランチのバックアップにもなれること、なんやかやで関塚さんから重用されているのでココで落とすのはマジ意味わかんねえ的な部分もあるんでしょう。選考なんて完全にフラットではありません。もちろん、山村がこの世代において全然実力がないわけではないですけれども。

>MF
>17 清武 弘嗣 1989.11.12 172cm 66kg ニュルンベルク(ドイツ)
>6 村松 大輔 1989.10.29 177cm 76kg 清水エスパルス
>10 東  慶悟 1990.07.20 178cm 69kg 大宮アルディージャ
>16 山口  螢 1990.10.06 173cm 72kg セレッソ大阪
>3 扇原 貴宏 1991.10.05 183cm 72kg セレッソ大阪
>14 宇佐美貴史 1992.05.06 178cm 69kg ホッフェンハイム(ドイツ)


 まあココは無風扱いでいいのでは。特に意外な当落はないかと。

>FW
>11 永井 謙佑 1989.03.05 177cm 74kg 名古屋グランパス
>7 大津 祐樹 1990.03.24 180cm 73kg メンヘングラッドバッハ(ドイツ)
>15 齋藤  学 1990.04.04 169cm 64kg 横浜F・マリノス
>9 杉本 健勇 1992.11.18 187cm 79kg 東京ヴェルディ


 一番モメてるのはココでしょうかね。要は、日本代表がこれまで国際大会で結果を残してきたスタイルを思い浮かべると良いのだと思います。つまりカウンター宣言ですよ。2010年W杯、2002年W杯いずれもある程度リトリートしてカウンターを狙うスタイルで、それまでの蓄積の延長線上という部分はあれどそういうスタイルです。
 
 99年WYは確かにつなぐサッカーで準優勝、2000年シドニー五輪もつなぐスタイルですが、今回のチームがそこまでの力量にあるとは思えず。北京五輪と同様に中盤の選手に乏しく、しかしサイドバックとアタッカーはかなり豊作で実際にマンUだのインテルだのCSKAモスクワだのシュツットガルトだのシャルケだのに行ってるわけで。

 今回もホッフェンハイムにニュルンベルクにシュツットガルトにハノーファーにと、両サイドバックとアタッカーに関してメンツはそろっております。カウンタースタイルが適したチームなのは、トゥーロンでの破壊力を見ても疑いようがありません。

 で、そうなると大迫勇也はまず外れます。ポストプレーよりもスピード、単騎の突破と決定力が求められ、そのいずれもにおいて永井や杉本、斎藤、大津は迫力がある。宮市の落選は、アーセナルとの兼ね合いの色が強い気がしますが、そもそもA代表の選手であり香川と同様にチームから戦力として認められてる存在なのでは、と。その文脈でいくと清武あたりは五輪参加は結構諸刃の剣だったりしますな。

 杉本健勇はなんでやねんという声があるかもですが、彼は187センチという体躯ながら6秒フラット、足元もしっかりしていて、何よりガラが悪いw 日本のイブラヒモビッチになれる素材です。こういうサッカーを選択したからというよりは、才能として宇佐美に並ぶ選手ですし、各年代で選ばれ続けた選手でサプライズってほどでもないと思います。

 いろいろ駆け足で見ていきましたが、なんせ18人の枠なのでよりシビアなチョイスにならざるを得ず、一騎当千かポリバレントかが選ばれ、そのどちらでもない選手はサクッと落とされるのは仕方ないかなと。じゃあこれで結果残せるのかというと、あのスペインに加えモロッコ・ホンジュラスとまあ強い相手ですから、普通に3戦全敗の可能性が高いです。
 
 ただ、そこで思い出して欲しいのは、北京五輪で負けたチームから何人の海外組が出ているかということ。つまり「才能」ベースでいうと、あのチームの選考は間違ってなかったわけですね。このチームの選考も、そういう意味では間違えではない。少なくとも世界で開花する可能性のある選手たちがゴロゴロしている。そういうふうに見えるし、まあ後は広島が増田が落ちたこと以外は全然関係していないこともあって、割とドライに見ています。
 
 正直、宇佐美、永井、杉本、清武に斎藤がいるチームだから、普通にくそつええんじゃね?w GKとDFが持ちこたえれば3連勝もあるでしょう。そのぐらいのアタッカーは揃ってます。DFとGKを中心に守備ブロックをどれだけ作れるか、どの位置でボールを奪うかを突き詰める時間はそれほどないですが、長い距離を走ってカウンターを成功させるメンツはいるので、スペインからもモロッコからもホンジュラスからも点は取れるでしょう。運動量含めた守備次第かなと、だから。