自身は「C層かD層に分類される」という森永卓郎氏

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 経済評論家の森永卓郎氏は2011年9月29日、ニコニコ生放送に出演し、いわゆる「B層」によって成り立っている現在の日本の社会について、1929年に濱口雄幸内閣が発足した当時の状況を例に挙げ、「これを突き進めていくと、戦争に行っちゃうかも知れない」と語った。

 「B層」とは、国民を、IQと構造改革への関心によって分類した項目の1つ。この分類法は小泉純一郎内閣当時、内閣府から依頼された宣伝会社が作ったもので、国民を「A」から「D」の4つの層に分類する。「A層」はIQが比較的高く構造改革にも関心の高い層で、政治家や有識者、大手メディアの人間など社会的地位も高い立場にある層だ。「B層」は構造改革に関心があるものの、比較的IQの低い層で、主婦や若者といったいわゆる"大衆"をいう。「C層」はIQは比較的高いが構造改革には慎重であり、「D層」はIQも構造改革への関心も低い層だ。

 このなかで「B層」は、小泉内閣が行った構造改革の支持母体であり、民主党への政権交代の支持母体であり、現在の野田佳彦政権の支持母体でもあるとされる。具体的な政策よりも人気によって政治家を支持する傾向にあるB層は数も多いため、「日本社会を動かしている」という。

 だが森永氏は、「B層」は「コロッとだまされる」ために「A層が幸せになるためになるための踏み台になっている」と指摘する。「A層は、アメリカ・財界・官僚を叩くふりをして実は守っている守旧派」で、実質的に「B層」を思い通りに動かしているというのだ。この点については、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』の著者・適菜収氏も、「B層」は「『改革』というフレーズに踊らされてしまう」とし、「B層を狙ったコンテンツは儲かる」状況があると語る。

 こうした状況について森永氏は、かつて大衆から絶大な支持を得た濱口雄幸内閣を例に挙げ、「国民の圧倒的支持を得た濱口内閣は、金融引き締め政策を行い、結果的に昭和恐慌を招いた。失業率は20%を越え、農産物価格は暴落して、大学生に仕事がなくなり、結果的に日本が戦争に走っていく1つの原因となった」と語り、同様にA層に踊らされるB層が多数を占める現状の日本ついて、

「もしかすると戦争に行っちゃうかも知れないですね。これを突き進めていくと」

と警鐘を鳴らした。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 森永氏「突き進めば、戦争に行っちゃう」発言から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv65376765?po=newslivedoor&ref=news#1:07:35

(安田俊亮)