何カ月にもわたり、彼は自身のプレーよりも移籍金のことを騒がれた。何週間にもわたり、彼はスタンドからチームメートたちを眺めてきた。だが今、すべてが変わるかもしれない。インテルMFリカルド・アルバレスは、22日のチャンピオンズリーグ・グループリーグ第5節のトラブゾンスポル戦で、インテルでの初ゴールを記録した。

リーグ前節カリアリ戦で1アシストを記録し、45分間の納得いくプレーを見せたアルバレスは、トラブゾンスポル戦で先発に復帰し、グループ首位での決勝トーナメント進出につながる得点を挙げた。彼はインテルを若返らせ、できれば変えようとしている。

約1000万ユーロ(約10億3000万円)。インテル首脳陣が昨夏、アルバレスを獲得するのに費やした金額だ。これは、昨夏のインテルの補強で最も高額となる。決して突然の補強だったわけではない。リッキーのことは何か月も前から話題となり、長くローマへの移籍が噂されていた。

ベレス・サルスフィエルドではリーダーだった。2009年後期リーグを制したチームのリーダーの一人だった彼は、ドリブルやパワフルなシュートで称賛された。ゴールゲッターではない。アルゼンチンでは最高で1シーズン5ゴールしか決めていないからだ。それでも、彼は周囲から称えられ、2011年にはポジション争いが激しい代表への扉も開いた。

イタリアサッカーとの出会いは、最高のものとはならなかった。インテルが今季序盤、方向転換したことによる問題もあった。何試合かプレーして、彼は「スロー過ぎる」と評価される。だが、クラウディオ・ラニエリ監督はトラブゾンスポル戦後、こう話した。

「彼のステップはちょっとぶらついていてね。スローに見えるけど、相手を狙ったときは抜くんだ。彼にはゴールが必要だった。私は満足している。見事なパフォーマンスだった。まだアルバレスの“スイッチ”を完全に変えることはできていないけど、彼は才能ある若者だよ。人の話を聞き、仕事をする。私は納得しているよ」

ターニングポイントとなったのは、右サイドでプレーするようになったことだ。右サイドなら、アルバレスにはよりスペースがあり、彼はより多くのボールを受け取ることができる。そこから中央へ切れ込み、決定的なパスやシュートを見せるために、左足を使えるのである。もちろん、カバーリングのタスクもあるが、この点において彼はアルゼンチン時代と比べ、大きな進歩を見せている。

MFヴェスレイ・スナイデルの負傷を受け、ラニエリ監督が進めている複数の戦術(4-2-3-1や4-1-4-1)において、アルバレスにはチャンスがある。インテルにとって重要な選手として立場を確立するため、そして移籍金の話題を減らし、より自分のプレーについて騒がせるために。