Automobili Lamborghini

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ランボルギーニ・ミウラの天井知らずの高騰を、ライバルと比較しながらジョン・メイヘッドが解説する。

【画像】ランボルギーニ・ミウラの相場推移をライバル車と比較したグラフ

ランボルギーニ・ミウラは、普通ならこれほど価値が上がる車ではない。1960年代のイタリアン・スポーツカーは、ここ数年、価値を維持するのに苦戦している。走る姿を実際に見たベビーブーマーが減ってきたからだ。ミウラは、同時代のフェラーリ365 GTB/4デイトナと同じように、素晴らしいV12エンジンを搭載し(5段MTで約350bhpを発生)、文化的意味のたっぷり詰まった紛れもなく美しいボディをまとっている。だが、今やミウラはマラネロのライバルを価格の上昇率で上回る。最も高いバージョンであるミウラSVの価値は、1989年の40倍に跳ね上がっているのに対し、デイトナの上昇はわずか2.4倍で、インフレ率を下回るのである。

これだけの差があるひとつの理由は、出発点が違うことだ。1989年はクラシックカー界にとって異例の年で、フェラーリの価格が高騰していた。そのトップを走っていたのがデイトナで、確実な投資先と見なされて、数週間で価値が2倍になったこともある。対してランボルギーニは、当時クライスラーの傘下にあり、稀に見る成功を収めたカウンタックが、新モデルのディアブロに置き換えられるところだった。映画『ウォール街』の名ゼリフ「強欲は善」を絵に描いたような、派手で未来的なこうしたスーパーカーと、ミウラはまったく違っていた。また、ミウラは1960年代のイタリアン・スポーツカーゆえに、走行できる状態で維持するのは面倒で高く付く恐れがあった。ところが近年になると、ミウラの価値はほかの一流のスポーツカーに比べて劇的に上昇した。イギリスのハガティー・プライスガイドが始まった2012年と比較した場合、ミウラSVは52万5000ポンドから300万ポンドに跳ね上がり、2024年には320万ポンドに達した。

トップクラスのどのモデルでもそうだが、上昇の理由はいくつもある。まず、ミウラのデザインは時が経っても古びなかった。同時代のライバルの中には重心が前寄りに見えるものもあるのに対して、ミウラは横置きミドシップ・レイアウトによって、もっとあとの時代のモデルに見える。また、レストアの手段やパーツの供給が大幅に改善したことも助けになっている。そのひとつがランボルギーニのヒストリックサービスであるポロストリコだ。おかげで、ミウラの修理や維持は以前より格段に楽になった。ランボルギーニというブランドも、アウディ傘下になってからの27年間で変貌を遂げた。売り上げは大幅に伸び、刺激的な新モデルの開発によって、ランボルギーニの過去のモデルにコレクターの注目が集まるようになった。

だが最大の鍵は、あの説明不可能な”カッコいい”という要素を、ミウラが今も持ち続けていることにある。映画『The ItalianJob』(邦題『ミニミニ大作戦』)の冒頭の数分間も、これに貢献している。俳優ロッサノ・ブラッツィがグラン・サン・ベルナール峠をミウラで駆け抜けていく光景とサウンドは、今も最高のドライビングシーンに数えられている。

だが、それだけではない。現F1チャンピオンのランド・ノリスが2024年にミウラを購入したとき、自分の父親が生まれる前に公開された古い映画の影響を、いったいどれだけ受けていただろう。私が思うに、彼はきっと、ルーバーに覆われたリアスクリーンや、ゲート式のギアシフト、クラムシェルボディの下の巨大なタイヤを見て、恋に落ちたのだ。少なくとも、私はそうだった。昨夏、サンターガタ・ボロニェーゼで、初めてミウラとたっぷり時間をすごしたときだった。

ミウラには、ほかにも他の一流どころと違う点がある。それは、どのバージョンでもおしなべて価値が上昇していることだ。たいていのモデルには、”手に入れるべきもの”と”その他大勢”が存在し、それが価格に反映する。メルセデス・ベンツ300SLの場合、アロイボディ(そしてアロイ製エンジンブロック)か、ラッジ製ホイールか、ロードスターならディスクブレーキとハードトップを装備するかで、価値がまったく違ってくる。ジャガーEタイプでも、標準のシリーズ1ロードスターと、ボンネット外部にロックのある最初期のモデルとでは、10倍の差が付くこともある。ミウラも、最終形である製造150台のみのパワフルなSVや、極めて希少なイオタにはプレミアが付く。とはいえ、今やすべてのバージョンが高騰しており、少々みすぼらしい状態のP400でさえ、100万ポンドに迫る勢いなのだ。

編集翻訳:伊東和彦 (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵
Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) Translation:Megumi KINOSHITA
Words:John Mayhead