「ゴジラロード」に飛び降りた少女も…ハイジアからも追い出されたトー横キッズはどこへいくのか
「ゴジラロード」に飛び降りた少女
「ここに集まっているのは、家や学校でも居場所がない子たち。人とのつながりに対して一般人よりも敏感すぎるのかもしれません。友人との些細なケンカでも、自分が否定されたと考え込んでしまい、立ち直る前に自傷に走ってしまう人もいます。自殺未遂は絶えませんし、最近も私の友人が飛び降りで亡くなりました」
こう話すのは、トー横界隈に出入りしている少女・A子さんだ。彼女の「友人」というのは7月1日に命を絶った女性だという。
7月1日の夜、新宿歌舞伎町「トー横」に出入りする女性がビルから飛び降りて亡くなるという痛ましい出来事が発生した。場所はセントラルロード、いわゆる「ゴジラロード」で、通行人も多い場所だ。現場には規制線が張られ、落下地点には血だまりができていた。A子さんは「最近まで一緒にTikTokを撮影したりしていたのに、実感がありません」と悲しみをあらわにする。
別の友人・B子さんによると、亡くなった女性は「前日に彼氏とケンカをしていた」という。
「そのことは彼女が配信で言っていたので知っていました。『死ね!』と言われて、『じゃあ死んでやる!』『死んでみろ!』とケンカになったようです。そのとき彼氏はOD(オーバードーズ)状態だったようですが、亡くなった子は真に受けたのかもしれません。
普段からケンカが絶えなかったみたいで、『さっきも殴られた』などと、以前からよく言っていました。配信では包丁を持った彼氏に脅されたとも話していて、心配したのは覚えています。彼女はその動画を最後に自殺しました」(B子さん)
トー横界隈では現在異変が起きているという。暴力団が出入りしたり、違法な薬物が出回るなど、かなり危険な状況だというのだ。集っているキッズに聞き込みをすると、口を揃えるように「自殺をほのめかす子が多い」と話す。冒頭の話をしてくれたA子さんも、その1人だった。
異変は、「トー横」という場所が消滅しつつあることと無関係ではないだろう。もともとはシネシティ広場を中心としたエリアに集っていたトー横キッズだが、’23年12月ごろに広場をフェンスで封鎖されたことにより、近くのセブン-イレブン前に溜まるようになった。しかし、このエリアも今年3月ごろから区によってキッチンカーが試験的に営業をするようになり、トー横キッズと呼ばれる界隈の溜まり場が消えてしまったのだ。
新しい“居場所”もすぐに封鎖
かつてのトー横周辺では、連日連夜、騒ぎが繰り広げられてきた。スピーカーで音楽を流し、どこから持ち出してきたのかアウトドア用の折り畳み式の椅子に座り酒を飲む人、また段ボールを敷き、我が物顔で寝ている人など、繁華街の真ん中で行われているとは思えないような行為を観察することができた。
近年では市販薬によるオーバードーズや、犯罪に巻き込まれる未成年などが報道されたことで、危険な場所として知られるようになった。「危険」「近寄りがたい」といった負のイメージを払拭しようと、行政がキッチンカーなどを誘致し、溜まり場にならないように働きかけているというのが現在の状況だ。
5月末ごろになると彼らは歌舞伎町交番裏、『東京都健康プラザ ハイジア』(通称ハイジア)の敷地内に溜まるようになった。敷地内の一画にある広場の階段に、かつての“セブン-イレブン前”をそのまま移動させたような状態だった。距離としては100mも離れていない。
しかし、この場所も6月29日には、フェンスが設置され、封鎖されてしまった。ハイジアからすると、敷地内が溜まり場になるのは許容できないだろう。当然の判断だといえる。行き場をなくした彼らはどこへ向かうのか。
クスリや美人局が横行
話をしてくれたのは、3年以上前からトー横にいるというC子さん。3ヵ月ほどで界隈のメンバーが流動的に変わるといわれているトー横キッズの中では、かなり古株ということになる。彼女によれば最近は「おかしい人が増えた」「犯罪に巻き込まれる人もかなりいる」という。
「昔から変な人や、個性的な人がたくさんいましたが、それ以上に危険な人が増えた印象です。おそらくカタギではないような人で、『美人局でいい稼ぎができるからやってみない?』だとか、『この薬を代わりに売ってくれない?』などと持ちかけてきます。善悪を区別することが難しい未成年でもおかまいなしなので、かなり危険です」
犯罪に巻き込まれるケースも多発している。これでは行政も看過することはできないだろう。排斥されつつあることについてはどのように考えているのか。
「今はセブン-イレブン前に戻る集団とラブホ街に集まる集団が、昔と変わらず溜まっています。昔から行政が雇った警備員に常に見張られていましたが、前よりも厳しくなった気がします」(C子さん)
歌舞伎町内にあるラブホ周辺に集まる集団は、ホテルの前のスペースや路上でたむろしているとのことだ。そしてラブホ街に集まっている集団には問題があるという。
「彼らは家庭や学校での居場所がなくて集まってきた普通のキッズたちとは少し違う感じで、どちらかといえば暴力的な集団です。殴り合いをしたり、美人局や薬の売買を行っています。なかには違法な薬物もあると聞きます。新しく来た人たちが知らずに彼らに接触して犯罪に巻き込まれることもあるので、かなり危ない状況です」(同前)
今のトー横キッズたちは、セブン-イレブン前、ラブホ街、TOHOシネマズ横のローソン前周辺などに散らばった状態だ。「規制が強まったために、かなりの人が消えることになりました」(C子さん)といい、界隈から卒業した人も多い。現在集まっているグループはそれぞれ個性があり、新しくできるグループもあるという。
トー横キッズたちを取り巻く環境は大きく変わっている。けっして素行がいいわけではないが、行き場のない若者たちを排除するだけでなく何らかの支援につなげることも必要なのではないだろうか。
・日本いのちの電話連盟
電話 0570-783-556(午前10時〜午後10時)
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・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
よりそいホットライン(https://www.since2011.net/yorisoi/)
・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる)
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・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
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取材・文・写真(2〜4枚目):白紙緑
