DeNAの本拠地・横浜スタジアム

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 わずか1カ月で、チームの景色は大きく変わった。

 春先は勝率5割で踏みとどまっていたDeNAだが、交流戦で大きく負け越すと、6月は12球団ワーストの4勝15敗、勝率.211に沈んだ。ここ数年は常に上位争いを演じ、2024年にはシーズン3位から日本一まで駆け上がったチームである。それだけに、現在の苦境はファンにとっても受け入れがたいものだろう。【西尾典文/野球ライター】

【惜敗】ここ数年は上位争いも…中日に逆転を許し3-4で敗れた横浜ベイスターズナインの姿

外れた目論見

 両リーグとも混戦状態が続く今年のプロ野球にあって、DeNAは早くも首位から大きく引き離され、中日、広島も含めた下位争いに巻き込まれている。

DeNAの本拠地・横浜スタジアム

 チームの大きな課題は投手陣である。チーム防御率は6月終了時点でセ・リーグ最下位だった。特に先発は、エースの東克樹と3年目の石田裕太郎以外に、安定してローテーションを守る投手が限られている。リリーフ陣も、抑えを任されていた山崎康晃が6月以降に大きく成績を落とし、7月3日には登録抹消となった。

 こうした事態の背景には、球団のある体質が大きく影響しているという。

「ここ数年はAクラスの常連となり、2024年にはシーズン3位からの下剋上で日本一となりましたが、戦力的にそこまで充実していたわけではありません。特に大きな存在だったのは外国人選手です。投手はジャクソン、ケイ、ウィック、ウェンデルケン、野手ではオースティンが主力を担いました。それ以前もバウアーやソトが成績を残しています。ただ、昨年のオフには実績のあった外国人が大きく入れ替わりました。球団は新外国人で穴を埋めるつもりだったようですが、今のところは目論見が外れていると言わざるを得ないですね」(DeNAの球団関係者)

 昨年のDeNAは、ジャクソン、ケイ、バウアーで計23勝を挙げ、登板イニング数も400回を超えていた。彼らの穴を埋めるべく、オフにはメジャー経験のあるコックス、阪神で昨年6勝をマークしたデュプランティエを獲得した。

 しかし、コックスはわずか2試合の登板で左肘を故障。5月に手術を受けて今シーズン中の復帰が絶望となり、6月には退団している。一方のデュプランティエも2試合に登板して0勝2敗と結果を残せず、4月20日にコンディション不良で登録抹消となった。球団発表によると、7月8日(米国現地時間)に同国内の病院で右肘関節内側側副靱帯再建術、インターナルブレース併用の手術を受けたという。さらに同10日には、ウエイバー公示手続きが行われた。

ちぐはぐな編成

 野手でも、FA権行使に伴って桑原将志が退団したセンターの候補としてヒュンメルを獲得したが、ここまで打率は2割台前半と期待に応えられていない。こうした状況を受け、6月にはさらに投手のビドと外野手のエンカーナシオンを獲得した。

 エンカーナシオンは7月2日に一軍昇格を果たすと、いきなり5試合連続安打を放つなど存在感を示している。一方、ビドは二軍での調整が続いており、投手陣の苦しい状況が改善しているとは言い難い。昨年もシーズン途中でビシエド、フォードを獲得したが、大きな戦力にはならなかった。

 問題点は、外国人選手だけではないという。他球団の編成担当者はこう話す。

「2024年には日本一になりましたが、シーズンは3位。昨年も2位でしたが、優勝した阪神とは大きな差をつけられています。実績のある外国人選手と、FA移籍で退団したセンターのレギュラー・桑原が抜け、5月には正捕手の山本祐大がトレードでソフトバンクに移籍した。この流れを見れば、若い選手を引き上げてチームを新たに作り替えるのかと思いましたが、実際には外国人選手を新たに獲得している。少し編成がちぐはぐな印象は否めないですね」

 そのちぐはぐさは、一軍だけでなく二軍の陣容にも表れているという。

「二軍を見ても、すぐに一軍で抜擢したくなるような若手は多くありません。本来は一軍でプレーしていなければならない中堅やベテランが多い印象を受けます。メジャー帰りの藤浪晋太郎や、かつてのドラフト1位・森敬斗らはその最たる例ですよね。山本の交換要員の一人として獲得した井上朋也も、結局は二軍でプレーしている。去年、今年の付け焼き刃的な補強が、来年以降に響く危険性もありそうです」(前出の他球団編成担当者)

親会社の企業風土も影響か

 藤浪は昨年7月に日本球界へ復帰し、DeNAに入団した。しかし昨シーズンは6試合に登板して1勝に終わり、今年も一軍の戦力にはなっていない。ビシエドも今年5月に引退し、球団を去っている。

 こうした“付け焼き刃的な補強”に見える動きの背景には、球団の体質も影響しているのではないか、という見方がある。

「親会社がIT企業ということもあり、球団運営にもスピード感やチャレンジを重視する空気があるようです。成果を出すことは当然ですが、どれだけチャレンジしたかも重要になると聞きます。そういう親会社の企業文化が、思い切ったトレードやシーズン途中の補強に表れているのかもしれません。打てる手は何でも打つという姿勢は悪いことではありません。ただ、腰を据えて時間をかけ、自前の戦力を充実させていくという点は弱いように見えますね」(前同)

 現在のチームで投打の中心を担う東、牧秀悟は、ともに1年目から主力となった選手である。他の中心選手を見ても、即戦力として入団からわずかで一軍に定着した選手が多い。

 一方で、二軍からたたき上げてスターとなった選手は、親会社がDeNAになる前に獲得した筒香嘉智以降、なかなか見当たらない。

 山本を放出したことで正捕手としての期待が高まる松尾汐恩は、それに続く存在となる可能性を秘めている。では、松尾を中心に新たなチームを作っていけるのか。

 黄金期を築くには、目先の補強だけではなく、中長期的な視点がより求められることになりそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部