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先週の金曜日、日経平均株価は前日比で約1000円超の上昇で取引を終えた。この日、日経平均の上昇に寄与した上位の企業として、半導体メーカーのキオクシアホールディングス(HD)がランクインしていたのだが、同社の株取引をめぐって、X(旧Twitter)ではばく大な金額の損切り報告が続出した。

1ヵ月で株価約3万円上昇 キオクシアホールディングスの止まらぬ勢いはどこまで続くか

「キオクシアは終わっていません。ただお前らを終わらせてから始まります」。7月2日の夜に行われた、あるXユーザーの投稿だ。6月中旬に1株11万円まで上昇したキオクシアHDは、これを一つの区切りとするような形で下落を続け、今月に入ってからは数百万円単位の損失報告が一部で行われていた。

前述のポストが行われてから約12時間後の3日8時、キオクシアHDの取引はストップ安で始まるような気配を見せていた。取引開始時の予定価格は1株61260円。最高値と比較すると約半値である。約2週間で1100万円の資産が600万円に。この恐怖心に打ち勝てる人は、そうそういないだろう。

結局、この日の取引は1株68000円で始まったが、朝方の「売り圧力」がうそのように上昇を続け、終値では83300円を付けた。前日比を上回る価格で取引を終え、冒頭で触れたように日経平均の上昇にも寄与する結果となった。しかし、元々含み損を抱えていた投資家たちにとっては、株価が半値近くになるというのは耐え難い出来事であり、前日比マイナスだった時間帯を最後の逃げ場と見て、損切りをする人が多かったようだ。

「しばらく落ち込みます」とつづったアカウントは、1000万円を超える損失が出たことを示すスクリーンショットを投稿。また、株取引などで1億円を目指すというアカウントは、4200万円の損切りを報告。プロフィールには「4200万円損切りして反省中」という一文が追加された。キオクシアHDの取引を約100万円のプラスで終えた投資家は、レバレッジを効かせる投資手段である信用取引にて、7桁台の損切りを連発。信用取引に手を出していなければ、約1900万円の利益になっていたようだ。

「キオクシアで人生終了」というタイトルの記事をnoteに投稿し、取引の一部始終を説明した人物は、今回で「トドメの一撃」を受けたとも投稿。仮想通貨の取引などを経て約10億円の資産を保有していたと自称していたが、今回の取引によって約2億円の損失を出したようで、プロフィール欄には「生涯トータル損失9億超え」とも書かれている。

「ボリバン」の底値で反転

キオクシアHDの株売買をめぐり、様々な投資家が損失報告を出した3日には、新製品のサンプル品を出荷したという好材料が出ていたが、この日の株価が上昇する可能性が高いというシグナルは、チャートにも表れていた。1日の値動きを示す日足チャートに、株売買の目安を表す「ボリンジャーバンド」を重ねると、この日の取引は1株68000円前後が底値かもしれない、というシグナルを発していたのだ。

ボリンジャーバンドは、実際に行われた売買の価格から今後上昇する価格、下落する価格の大まかな指標を示すもので、最高価格と最低価格を突き抜けた株価になる可能性は1%未満と言われている。キオクシアHDは異常な値動きを続けていたため、上昇時こそ最高価格の想定値を突き抜けることが何度もあったが、最低価格を下回る突き抜け方をしたのは、昨年の8月や今年の3月など、指折り程度しかない。

もちろん、ボリンジャーバンドの最低価格にタッチしたからと言って安心できるわけではなく、最高価格の想定値をなぞって上昇したように、最低価格の想定値をなぞるように下落する可能性もゼロではない。だが、少なくともデイトレードや数日の保有を目的にした取引であれば、ボリンジャーバンドのシグナル通りに取引し、利益を出すことも可能だったかもしれない。

週が明けた6日、キオクシアHDの株価は終値が81590円だった。前日比では下落となったが、おおむね前営業日の終値と同じ価格帯に落ち着いている。この価格が高いとみるか安いとみるかは自由だが、実際に株の売買を行うのであれば、約800万円のお金をワンクリック・ワンタップで手軽に動かすのではなく、本当に今キオクシアHDに投資しなければいけないのかまで考えた上で、慎重に考えた方が良いだろう。

文/池田聖人 内外タイムス編集部