「血液検査のAST」が”異常値になる原因”はご存じですか?医師が解説!
血液検査のAST(GOT)が低くなる・高くなる主な原因はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医がASTの数値が変動する主な原因について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「血液検査のAST」は体の何を見ている?異常値の原因やALTとの違いも医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
血液検査のAST(GOT)とは?
AST(GOT)は健康診断でも測定される項目の一つです。数値の意味を正しく理解することで、肝臓だけでなく全身の状態を把握する手がかりになります。
AST(GOT)は体の中でどんな働きをする酵素?
ASTはアミノ酸代謝に関わる酵素で、肝臓・心筋・骨格筋などに存在します。これらの細胞が傷つくと血液中に漏れ出るため、数値の上昇は細胞障害のサインとして捉えられます。単独では原因臓器の特定が難しく、他の検査と合わせて評価します。
AST(GOT)とALT(GPT)の決定的な違い
ASTは肝臓だけでなく心臓や筋肉など全身の細胞に含まれる酵素です。一方ALTは主に肝臓に存在します。そのためALTが高い場合は肝障害が疑われます。ASTの方が高い場合は、アルコールの影響や筋肉・心臓の病気も含めて評価する必要があります。
血液検査でAST(GOT)が低くなる主な原因
ASTの低値は注目されにくいものの、特定の状態を示すことがあります。背景を踏まえて評価することが大切です。
ビタミンB6が欠乏している
ASTはビタミンB6を補酵素として働く酵素であるため、体内でこのビタミンが不足すると酵素活性が低下し、血液検査で低値を示すことがあります。偏った食事や栄養不良、アルコールの多飲などが原因となることがあり、特に高齢者や食事量が少ない方では注意が必要です。食事内容の見直しや栄養補給により改善するケースもあります。
重度の肝機能障害
進行した肝不全では、ASTを産生する肝細胞そのものが減少するため、結果として血中のASTが低値となることがあります。この場合、数値が低いからといって安心できる状態ではなく、むしろ肝機能が大きく低下している可能性があります。アルブミンやビリルビンなど他の指標と合わせて評価し、早急な対応が求められることもあります。
透析中である
透析を受けている方では、ASTを含む酵素の値が低く出ることがあります。これは血液の希釈や代謝の変化、補酵素の不足などが関係していると考えられています。そのため一般的な基準値をそのまま当てはめると実態とずれることがあり、透析患者では経過や他の検査結果を踏まえた評価が重要になります。
血液検査でAST(GOT)が高くなる主な原因
ASTの上昇は多くの人が経験する所見ですが、原因は一つではありません。生活習慣から重篤な疾患まで幅広く含まれます。
アルコールや脂肪肝など肝臓にダメージがある
飲酒習慣や肥満に伴う脂肪肝では、肝細胞の障害によりASTが上昇します。初期は自覚症状に乏しいことが多く、健診で初めて指摘されるケースも少なくありません。生活習慣の見直しが改善の鍵となります。
肝臓以外の病気
ASTが圧倒的に高い場合、心筋梗塞や筋疾患、溶血性貧血などの肝臓以外の病気の可能性もあります。特に胸痛や筋肉痛などの症状を伴う場合は、肝臓以外の原因を含めた評価が必要です。
「血液検査のAST」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血液検査のAST」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ASTはいくつから異常値でしょうか?
木村 香菜 医師
一般的には51IU/L以上で異常と判断されます。ただし基準値は施設により異なるため、検査結果の記載に従うことが大切です。
ASTが高いと、体にはどのような症状が出ますか?
木村 香菜 医師
軽度の上昇では自覚症状がないことが多い一方、原因となる疾患により倦怠感や黄疸、胸痛、筋肉痛などが現れることがあります。
お酒を飲まないのにASTだけが高い原因は何ですか?
木村 香菜 医師
筋肉の負荷や心疾患、薬剤の影響などが考えられます。ALTや他の検査値と合わせて評価する必要があります。
ASTとALTの両方を下げるには、日常生活で何をすれば良いでしょうか?
木村 香菜 医師
体重管理、飲酒制限、バランスの良い食事、適度な運動が基本です。数値が高い状態が続く場合は医療機関での評価が必要です。
まとめ
ASTは肝臓だけでなく全身の細胞障害を反映する指標です。単独の数値だけで判断せず、ALTや症状、生活背景と合わせて評価することが重要です。健診で異常を指摘された場合は放置せず、原因の確認と適切な対応につなげることが健康維持に直結します。
「血液検査のAST」の異常で考えられる病気
「血液検査のAST」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
肝臓の病気
肝臓系
急性肝炎慢性肝炎
脂肪肝アルコール性肝障害肝硬変循環器系の病気
循環器系
急性心筋梗塞心筋炎筋肉・その他の病気
筋肉・その他
多発性筋炎横紋筋融解症溶血性貧血ASTの異常は肝臓の病気に限らず、心臓や筋肉など幅広い異常のサインとなることがあります。数値だけで自己判断せず、他の検査結果や症状と合わせて医療機関で評価することが重要です。
「血液検査のAST」と関連する症状
「血液検査のAST」と関連する症状は8個ほどあります。各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
だるい
胸が痛い冷や汗が出る
筋肉痛手や白目が黄色くなる
食欲がない下痢
立ち眩みがする
参考文献
ASTとALTの違いは?AST/ALT比について教えてください。-シー・アール・シー
検査表の見方|日本人間ドック・予防医療学会
Aspartate aminotransferase (AST) blood test - Mayo Clinic.

