後半アディショナルタイム、叫ぶ森保一監督(カメラ・山崎 賢人)

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◆サッカー北中米W杯▽決勝トーナメント1回戦 ブラジル2―1日本(29日、ヒューストン競技場)

 1次リーグ(L)F組2位の日本は、C組1位のブラジルに後半アディショナルタイム(AT)で勝ち越しを許し、1―2の逆転負けで敗退した。前半29分にMF佐野海舟の痛快な先制弾で見えた勝機は、後半に5度制覇の王国ブラジルにいとも簡単にかき消された。大会直前に離脱した主将のMF遠藤航、本大会でMF久保建英と負傷者が続出。交代要員に悩まされながら、たどり着いた決勝Tは1回戦の高い壁にまたしてもはね返された。

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 約6万9000人の大観衆で埋まった会場に、試合終了のホイッスルが鳴り響くと、日本のイレブンは天を仰いで頭を抱え、力なく膝から崩れ落ちた。

 佐野の豪快ミドルで先制。このまま後半守り切れば、歴史的勝利…。だれもがそう思ったが王国は強かった。後半に追いつかれ、1―1で突入したATでやられた。同点なら延長戦。しかし残り1分、ピッチ上にいる誰もが言葉を失った。自陣でボールを奪われ、最後はマルチネリのシュートがGK鈴木彩の手をかすめ、ポストに当たり吸い込まれた。森保ジャパンの4年間が凝縮された決勝T。

  「この大会で優勝するという最高の景色は見ることができなかった。監督としてみんなを導いてあげられず申し訳ない」

 涙にくれた選手たちとの試合後の円陣で森保監督も涙をこらえ、絞り出した。

 ボール支配率を上げるサッカーを目指し、この日は日本32%、ブラジル68%だったが、ボールを握る時間帯は前回大会の決勝より増えた。カタール大会のドイツ戦(24%)、スペイン戦(18%)はほとんど握れず、一発にかけるサッカーから一定の成長は見せた。だが、佐野の得点で先制しながら、後半は相手の猛攻で劣勢になり、戦力不足を露呈し、最後は決壊した。

 後半、ブラジルは中盤のパケタを下げ、エンドリッキ投入と効果的な采配を打つ。日本は多用してきたサイドからのクロスに対応できなかった。同21分のウィングバック2枚替えし、MF菅原、DF鈴木淳を投入。5バックで押し込まれ、防戦一方となった。同33分MF伊東に代えたのが追加招集のFW町野。攻撃の軸のシャドー(1トップ後方)の南野拓実、三笘薫が負傷で代表入りできず、久保も不在。枚数不足がもろに影響した。

 指揮官は久保らの不在に「チームの戦いとしては影響されたところはある」と認めた。「2チーム分の戦力を」と選手層の幅を広げようと試み、1次Lでは使い分けしながら乗り切った。だが、ブラジルのような強国相手に通用する戦力をそろえることは難しく、組織力では補い切れない、個の力の差が浮き彫りとなった。「世界トップ基準に近づいてきている」としながら「勝っていくためには攻守で力をつけなければ」と足元を見つめた。5度目の挑戦でも決勝Tで初勝利は遠かった。次回30年大会へ、日本には宿題が残された。(岩原 正幸)

 ◇森保監督に聞く

―ハーフタイムの指示は。

 「ある程度相手にボールを持たれながらも、粘り強く守り、我々もチャンスはつくれている。もう一回、0―0の状態の気持ちで戦おうと。リードしている状況で、守りだけにならないように」

 ―追いつかれた後のプランは。

 「終盤の考え方は、延長を見据えて、交代カードを1枚残しながら延長に入ろうと。しかし、失点してしまった。どういうふうにカードを切るのかを準備していた上で、延長戦の方が濃厚かなと思っていた」

 ―32強の成績に関して。

 「素晴らしい選手がいて、チーム一丸となって、粘り強く最後まで戦い抜くというところを毎回やってくれた。今日の試合も勝つチャンスはあると思って戦い、実際チャンスはあった。(勝利を)つかみ取れなかったので、監督の力が一番足りなかった」

 ―プロセス(過程)が大事だと言っていたが、もっとこうすれば良かったという点はあるか。

 「前回のカタールW杯を踏まえ、チームでどういう積み上げをしていこうかということを常に考えていた。自分の中では確実に積み上げてこられた。一気に何かを変えたいというのもあるが、歴史は簡単には動いてくれない。ただ、地道に積み上げて、今日もうまく乗り切ったら、ひょっとしたら歴史が大きく動いていたかもしれない」