消防車、救急車も買える? 何に使うの? 知る人ぞ知る「自治体オークション」の世界と仕組み
オークションサイトと聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは「メルカリ」だろう。誰でも気軽に物を売ったり買ったりできるサービスとして、すっかりおなじみの存在だ。しかし、あまり知られていないものの、誰でも参加できる自治体のオークションがあることをご存じだろうか。
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それが「KSI官公庁オークション」だ。文字どおり、官公庁(市役所や県庁など)で不要になった物品をオークション形式で売却するサイトである。
一般的なオークションと異なるのは、出品されるものが自治体の所有物である点だ。例えば静岡市では年に一度、不要になった市の備品などを出品している。なぜオークションに出品するのだろうか。市の担当者に話を聞いた。
「不要な物品を売却することで、市の財源とすることができます。また、市として不要なものでも、再利用していただくことで、環境にやさしい取り組みになると考えています」(静岡市庁舎管理課担当者)
「自治体のオークション」というだけあって、民間のオークションサイトとは異なる特徴も多いようだ。
「出品者は行政機関に限られるため、出品者の身元に信頼性があり、安心・安全な取引ができます。また、一般にはあまり出回らない行政機関ならではの掘り出し物が見つかることもあります。公用車や公有地、消防車や救急車といったユニークなものから、身近な事務用品まで、さまざまな物品が出品されています」(前出の静岡市担当者)
ちなみにサイトを見ると6月24日の時点で、消防車は93件出品されていて、物件価格(自治体が定めた最低入札価格)は2万〜300万円と幅広い。(落札価格は落札直後のみ公開されそれ以降は見ることができない)。
消防車を何に使うのか不思議に思うが、他の自治体が自分のところの消防車として使用したり、一般の人が自家用車として使用しSNSに投稿したりすることもあるそうだ。
昔、学校の理科の実験で使ったビーカーやメスシリンダーなどの実験器具が数多く出品されているのも、このサイトならではだろう。研究所などで利用されるケースがほとんどだが、変わった例ではコンセプトカフェで使用されたこともあったという。
民間のオークションサイトに比べると競争相手は少ないかも?
また、自転車も出品されているが、こちらは市の備品ではないそうだ。
「市営駐輪場に長期間放置されていた自転車です。放置自転車については、条例などに基づいて一定期間保管し、所有者の確認や返還手続きを行ったうえで、引き取りのないものを市が適正に処分しています。その中で、状態が良く使用可能と判断した自転車をオークションに出品しています」(前出の静岡市担当者)
これまでのオークションでは、1つの物品に対する入札は、多くても10件程度だという。民間のオークションサイトに比べると、競争相手は少ない印象だ。また、一発勝負の入札形式のため、価格が過度につり上がることも少ない。(静岡市は入札形式を採用しているが、何度でも入札できるせり売り形式を採用する自治体もある)
出品は全国の自治体から行われており、地域を問わず誰でも入札できる。ただし、落札した物品の輸送費は原則として落札者負担となるため、遠方の人は参加をためらうこともあるという。
オークションに参加するには、「KSI官公庁オークション」に登録してログインする必要がある。入札自体は簡単だが、その後、出品自治体へ「入札参加申込書」を提出しなければならず、運転免許証など本人確認書類の写しも必要となる。静岡市の場合、提出は「市役所に持参もしくは郵送」となっていて、オンラインでの手続きはできない。
また、カード決済により、入札保証金(自治体が定めた予定価格の10分の1)を収める必要もある。
民間のオークションサイトと比べると、「面倒だ」と感じる人もいるだろう。しかし、その分ライバルが少なく、思わぬ掘り出し物をお得に手に入れられる可能性もある。まだあまり知られていない「自治体オークション」を上手に活用して、欲しいものをお得に手に入れてみてはいかがだろうか。
ちなみに筆者も、「PROVROS社製の折り畳み自転車」を1万3010円で手に入れた。同社のHPによれば、この自転車の価格は2万8800円となっているので、お得な買い物だったといえるだろう。
(取材・文=三浦徹/ライター)
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