升毅&近江谷太朗 7月開幕の舞台「父よ!」で初の兄弟役 升「弟たちが長男にしてくれる」
俳優の升毅(70)と近江谷太朗(60)が出演する舞台「父よ!」が7月3日、東京・吉祥寺シアターで開幕する(12日まで)。2人の舞台共演は2014年上演の「一郎ちゃんがいく。」以来12年ぶりで、今回は初の兄弟役。四兄弟の長男を演じる升は「弟たちが長男にしてくれる」と信頼を寄せている。
同作は2013年に初演され、2015年に再演された傑作。一人暮らしの父親の面倒を誰が見るのかをめぐって言い争う四兄弟が次第に本音をぶつけ合うなかで、父親の人柄が浮かび上がっていく物語で、共演にはおかやまはじめ、植本純米、瀬戸カトリーヌが名を連ねる。大本命でありながら課された役割を背負おうとしない長男という役どころについて、升は「ダメな人」と苦笑い。私生活では2人兄弟の弟で「自分にはあんまり長男感はない」と明かす。長男を演じるにあたり、さまざまなイメージを膨らませたというが「結局、長男感は自分で出すものじゃないと分かった。“兄貴”って呼ばれただけで兄貴だと思えるし、その意識がどんどん芽生えて、蓄積されています」と実感を込めた。
ぶっきらぼうな次男・輝男を演じる近江谷は「僕は一人っ子なので、ましてや四人兄弟の感覚が全く分からない」としながらも「自由に居ても大丈夫な役」と分析する。作・演出を手がける田村孝裕氏は、本作に登場する四兄弟それぞれに自身のダメな部分を投影しているという。そんな不器用で愛おしい人間模様も見どころのひとつだ。近江谷も「輝男と近い部分があるし、自分の経験が活きる役でもある」と役柄への共感を口にし「お客さんにとっても身近に感じられる話なので、うるっときたり、くすっとするシーンがあると思う」とアピールした。
互いの演技について聞かれると、升は「太朗ちゃんは、こう見えて意外と“軽演技”なんです」と語る。2人の初共演は2002年。升が主宰していた劇団MOTHERの解散公演「ロング・ディスタンス」に近江谷がゲスト出演した時のことだ。当時、近江谷は所属していた演劇集団「キャラメルボックス」で、同期の上川隆也とともに絶大な人気を誇っていた。「発想力があって、アドリブもポンポン出てきて笑わせてくれるんです」。なかでも印象に残っているのは、近江谷の突拍子もないアドリブだという。升は「『サザエさん』の主題歌を歌わずにセリフでしゃべりだすという。何を言い出したのこいつ、と思ってよくよく聞いたら“お魚くわえたドラ猫”って」と懐かしそうに振り返った。一方、近江谷にとって升は俳優人生の先を行く先輩だ。10歳年上ながら膨大なセリフを覚え、舞台上でパワフルに動き回る姿に尊敬の念を抱き続けている。「自分があと10年経ってもこれぐらいできる可能性があるんだと思えるんです」とし「指針にさせていただいていますし、背中を追わせていただいています」と目を細めた。

