雨の日に自転車が歩道を走行する率が高いのは気のせい?(弁護士JP編集部撮影)

写真拡大

梅雨の時期になり、雨具を使用して走行する自転車が目立つ。交通反則通告制度(いわゆる青切符制度)がスタートして2か月が経過したこともあってか、傘さし自転車こそ減った印象だが、先日の雨の日、都内で歩道を歩いていた時の出来事として、40代の会社員Aさんが口を尖らせた。

「歩道を自転車が走行し、追い越し際に水しぶきをかけられました。さすがに傘さしではなく、レインコートを着ていましたが、雨の日は車道を回避しているのか歩道を走行する自転車が多い印象です。反則金がとられるようになったし、危険なんだから、せめて雨の日は自転車に乗るのをやめてほしいです!」

同時に2つの違反をした場合の反則金はどう計算?

Aさんが指摘するように、この自転車に乗っていた人の行為には、青切符制度の対象となる項目が複数含まれている。歩道走行、泥はね運転(泥はね運転違反)の2つだ。

警視庁の反則行為の種別及び反則金一覧表によれば、軽車両(自転車)の反則金額は違反の種類によって異なるが、歩道徐行等義務違反は3000円、泥はね運転違反は5000円が目安として示されている。仮に複数の違反が同時に成立すると判断された場合、反則金の合計額はどうなるのか。

反則金のカウントは自動車やバイクと同様、1つの行為が複数の違反に該当する場合(観念的競合)、「最も重い反則金のみを適用する(合算はしない)」というルールで運用されている。これに則れば、今回のケースでは、歩道走行、泥はね運転(泥はね運転違反)が同じ場所・時間帯の一個の行為であるため、反則金は高いほうの5000円(泥はね運転)ということになる。

これに対し、たとえば、傘をさして車道を走り、その後、交差点で信号無視をしたという場合は、それぞれ時間と場所が異なるため、個別の行為とみなされ、反則金もそれぞれで発生することになる。

器具で傘を固定して自転車を運転するのはOK?

今回のケースでは傘さしはなかったが、傘さし運転は乗車積載方法違反に類するとされる場合がある。

では、手に傘を持たず、器具で固定して差した状態で、ハンドルを両手で握って自転車を運転することは問題ないのか。

残念ながら、これもNGだ。

東京都道路交通規則8条3号は、傘を差して運転すること自体を禁じている。自転車に傘を固定すると「積載物」にあたるが、自転車の横幅+0.3mを超える積載物は禁止されているため(同規則10条3号イ)、多くの場合、開いた傘の横幅がこの制限に抵触するとみられる。

器具で固定し、両手が使える状態か否かは関係ない。

デメリットしかない雨中での自転車

通勤や通学で自転車を使う人にとっては天候に関係なく、移動の“足”として必需品だろう。多少危険でも、利用は背に腹は代えられないかもしれない。

だが、そもそも雨の日は路面が滑りやすく、ブレーキの効きも悪い。加えて視界も好天時に劣ることなどを考慮すると、乗らない選択肢も持っておくにこしたことはない。ましてや、いまは傘さしは反則金の対象であり、デメリットしかない。

万一、自転車で事故を起こし、相手死傷させた場合には、業務上過失致死傷罪や重過失致死傷罪(刑法211条)に問われ、最高で5年の拘禁刑という重い刑事責任を負うリスクもある。

傘さし運転は即アウト?

ちなみに、傘を差して自転車に乗ったからといって「即アウト」というわけではない。青切符制度の適用にあたり、警察庁もその点を、指導取り締まりの基本的な考え方として公開している。

それによれば「悪質性・危険性が高くないケースは引き続き、指導警告」であり、「悪質性・危険性の高いケースでは取り締まり」の対象になる。

傘さし運転のケースでは、具体例として傘を差しながら一時停止を怠った場合は、悪質・危険と判断し、取り締まるとしている。

もっとも、雨具着用で本来の走行レーンである車道左側を走るのは自動車との接触等による事故リスクが高く、それが怖いからと歩道を走行すれば、二重三重の反則切符対象行為をすることになりかねない…。それらを踏まえると、結局のところ「降ったら乗らない」が、自転車利用者にとって最も合理的な判断といえそうだ。