YouTubeチャンネル「守鍬 刈雄のお暇なら映画でも」が、「【#急に具合が悪くなる】終末医療のあり方を問う傑作。「廃用身」と比較してみる(新作映画レビュー)」と題した動画を公開した。映画独自解説家の守鍬氏が、終末医療や介護問題をテーマにした映画『急に具合が悪くなる』と『廃用身』を取り上げ、少子高齢化における介護のリアルと映画のあり方について考察している。

動画の前半では、フランスの介護施設を舞台にした『急に具合が悪くなる』を紹介。同作の軸となる「ユマニチュード(人間らしさを取り戻すケア)」について、患者を人間として尊重する素晴らしい理念であると説明する。しかし、患者1人を立たせて歩かせるために最低でも2~3人の看護師が必要になるという点に言及。「莫大な時間と労力と費用が必要」「ユマニチュードなんて夢物語」と、資本主義と少子高齢化が進む現代においては非現実的であるというリアルな視点を提示した。

対照的なアプローチとして、動かなくなった手足を切断して介護の負担を極限まで減らすというテーマを描いた『廃用身』をピックアップ。一見すると非人道的なアプローチに思えるが、日本の介護の多くが「家族という名のボランティア頼り」になっている現状を踏まえ、「家族にボランティアに入ってもらうというのは、日本式の介護になる可能性を秘めている」と指摘。理想論だけでは語れない介護現場の過酷さと、倫理的な葛藤が交錯する現実を鋭く浮き彫りにした。

守鍬氏は、真逆の解決策を提示する2つの映画に対し、どちらが正解とは言えないと結論付けた。その上で、目を背けたくなる重いテーマだからこそ「社会派映画こそエンタメにすべき」と独自の哲学を語り、「感動ポルノじゃなくてよかった」と本作を高く評価している。誰にでもいつか必ず訪れる「老い」と「介護」という正解のない問題に対し、映画というエンターテインメントを通して考えるきっかけを与えてくれる有意義なレビューとなっている。