記事のポイント
サブスタックは「広告を排除するプラットフォーム」として出発したが、現在は広告導入の可能性を模索しはじめている。
信頼性を重視する姿勢から、ソーシャル機能よりも出版物や番組の周辺に広告を配置する構想を描いている。
収益多様化や競争激化への対応として、クリエイター支援型の広告モデルやアドテク整備が今後の鍵となる。


広告のない場所であると以前は表明していたサブスタック(Substack)だが、これまでの多くのプラットフォームと同様に、もはや広告を排除しない方針へと転換した。

サブスタックの共同創業者でチーフライティングオフィサーを務めるヘイミッシュ・マッケンジー氏は、米DIGIDAYの取材に対し「我々にとって広告は興味深いビジネスである。当分先の話になるかもしれないが」と語っている。

これは、現実を見据えた判断といえる。たとえサブスタックが購読者からライターへの支払いに対して10%の手数料を得ていたとしても、プラットフォームの成長には多額の資金が必要であるという現実をようやく認識したのだ。

読者からの収益による成長には限界がある。一方で、広告を正しく活用すれば、スケールや利益率、そして長期的には無視できない経済的成長を見込める。

広告導入に慎重な理由



しかし、サブスタックが慎重な姿勢をみせているのは、まさにこの「正しく活用すれば」という前提があるからにほかならない。悪質な広告はユーザーを遠ざける可能性がある。信頼と忠誠心を基盤とするサブスタックのようなビジネスにとって、そのリスクは決して軽視できない。

エンダースアナリシス(Enders Analysis)のシニアリサーチアナリストであるジェイミー・マキューアン氏は、「広告収入は購読料の値下げや、ニュースレターの黒字化に寄与する」と述べている。

さらに、「ニュースレター市場における競争はかつてないほど激しくなっており、著者たちが感じているであろう制約を取り払う必要性も高まっている。それは、ビーハイブ(Beehiiv)が最近広告を導入した事実からも読み取れる」と付け加えた。

サブスタックが広告への関心を実際の意図へと転じれば、それはプラットフォームが広告にいったんは抵抗し、やがて再考するという、おなじみの流れをなぞることになる。サブスタックも、まさにそうした道をたどったプラットフォームの仲間入りを果たすことになるだろう。

たとえばビーリアル(BeReal)がその一例だ。

同社は約4年間広告に反対の姿勢を貫いていたが、2024年6月にフランスのモバイルアプリおよびゲームのパブリッシャーであるブードゥー(Voodoo)に買収されたのを機に、方針を転換した。Netflix、インスタグラム、Reddit(レディット)も同様で、かつては広告に反対、あるいは懐疑的な立場を取っていたが、のちに広告を取り入れている。

サブスタックが描く広告導入の未来



しかしマッケンジー氏によれば、もしサブスタックに広告が導入されるとすれば、ソーシャルメディアやネットワーク機能にではなく、サブスタックで配信されている出版物、ポッドキャスト、番組の周辺に広告が集中する可能性が高いという。

「(サブスタックの)ソーシャルネットワーキング機能の目的は、クリエイターやパブリッシャー、ライター、ポッドキャスターの成長を促し、より深い関係性を築くことである」とマッケンジー氏は説明する。

「中毒性の高いドゥームスクロール(ネガティブな情報を延々とスクロールして読み続けてしまう行動)のフィードを構築し、そこに広告を差し込んで収益化することを目指してはいない」。

現在、サブスタックを利用しているライターのなかには、自身の出版物でスポンサードコンテンツをホストしている者が増加している。これには、ライターが自ら料金を設定し、収益を多様化できるという利点がある。ただし、ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)が報じたように、契約交渉の手間や精神的プレッシャーを負担に感じている声も少なくない。

もっとも、これは解決できない課題ではない。ほかのプラットフォームはまさにこうした問題を克服するためにリソースを投入し、プロセスを合理化し、摩擦を軽減し、広告主がコンテンツを大規模に活用しやすくするためのアドテクやクリエイターツールを構築している。

「ニュースレターは広告市場全体のなかでは小さな領域かもしれないが、オーディエンスは比較的裕福で、著者やプレミアムな文脈で取り上げられるテーマと強く結びついている傾向がある。ゆえに、高級志向の広告主やBtoB広告主にとって、魅力的な選択肢となりうるだろう」。

[原文:Ad-free platform Substack isn’t ruling out ads after all]

Krystal Scanlon(翻訳:Maya Kishida、編集:藏西隆介)