――感染源を断つよりも、感染した人を治療することが重要ということですか?

三並医院長:そうです、その方が現実的です。

吉岡:簡単に言うと、全員が一斉に検査を受けて治療をすれば、梅毒は消えるんです。

――なるほど。

吉岡:ですので、定期的な検査が効果的です。

――梅毒に限らず、性感染症を予防する有効な手段は何でしょうか?

吉岡:コンドームを着けることや、不特定多数の人との性行為を控えることですかね。

三並医院長:基本はやはりコンドームの使用ですね。

――キスやオーラルセックスでも感染することはありますか?

三並医院長:あります。

吉岡:キスでは性感染症は感染しないと思っている人が多いですが、実際にはキスやオーラルセックスでも感染します。性行為中にコンドームを使っていても、オーラルセックスでは使わないことが多いですよね。

――性行為を楽しむためには難しい部分もあります。

吉岡:だからこそ、検査を受けることが重要です。検査は絶対ではありませんが、安心して性行為を楽しむための手段だと私は思っています。

三並医院長:予防策はありますが、もし感染してしまったら治療することが最も効果的です。すべての人が安全な状態で性行為を行うのが理想です。ウイルスは粘膜に付着して感染するので、性行為中の注意や、性行為の前後に手洗いやうがいをすることも有効です。

――ただ、一般の人が検査を受けづらい環境にあるのが問題ですね。どうすればもっと多くの人が検査を受けるようになるでしょうか?

吉岡:例えば「清潔感」や「美」、「健康」といった、自己肯定感を高める要素にフィットさせるのが効果的かもしれません。ただ、それが正解かどうかは分かりません。昔は当たり前でなかったことが、今では当たり前になっていることを調べてみる価値はあると思います。

――具体的にはどのようなものがありますか?

吉岡:例えば、清潔感を高めて異性にモテるとか、自分の健康を守るための選択肢として検査を受けることが考えられます。より自分らしく生きるための手段として提案するのも一つのアプローチかもしれません。

――昔は体臭や制汗の商品がそこまで一般的ではなかったけれど、今ではデオドラント商品が薬局の主力商品になっているのと同じような展開ですか?

吉岡:そうですね。

◆大久保公園前に簡易検査所がオープン予定

――性感染症の予防に関して、社会全体で取り組むべきことは何でしょうか?

吉岡:新宿ファストクリニックが監修した性感染症の簡易検査所が、東京の大久保公園前に10月オープン予定で工事中です。コロナのPCR検査所のようなイメージに近いです。検査費用も1,980円からと安く設定し、一般の方が気軽に検査を受けられるように工夫しています。

――大久保公園といえば、春を売る若い女性と買う男性、そこで蔓延する性感染症も問題となっていますね。

吉岡:そうなんです。性感染症蔓延の抑制に取り組んでいきたいです。正直、手洗いうがいをして、オーラルセックスをしないでコンドームを着ければいいわけです。いや、そもそも性行為自体をしなければ感染はしません。しかし、現実的にできるのかどうかは難しいところですよね。安全に楽しむためには、検査を受けることが一つの方法だと私は思っています。そういう仕組みを作っていきたいと思っています。頑張ります。

――こういったインタビューも、啓発のきっかけになると思います。例えば、このクリニックも新宿駅から徒歩1分ほどで、アクセスが良いです。駅から近いことも重要ですよね。

三並医院長:はい、地下鉄丸ノ内線新宿駅からであれば徒歩1分で、みなさんが来やすい場所になればと思い、この場所にしました。吉岡さんの話の通り、性感染症に限らず、医学的に100%正しい生活を送るのは、修行者のようであまり楽しくありません。生活習慣病のリスクを最小化した生活は、たぶんプロスポーツ選手みたいなものですけど、それは一般人には辛いですよね。なので、人生を楽しみつつ、ほどほどに予防できるバランスが大事だと思います。