――焦りはなかったですか?

パラダイス:自信はなくしかけていましたよ。だから僕は、捨て身で全部さらけ出すしかないなと思って、きつめの下ネタや社長付き合いの話をするようにしました。そしたらだんだんと人間性が分かってもらえて、ウーマンラッシュアワーはツッコミのほうが「変なヤツ」というキャラは浸透したと思います。

◆テレビに出られないのは自己責任

――ブレイクした当時の村本さんの様子はどうだったんですか?

パラダイス:今となっては悩んでいたんやろうなとは思います。ゲスキャラやクズキャラというのが浸透しすぎていて、何とも思っていない人にも「悪口を言ってください」みたいな仕事が多かったので。

 結局、村本から「テレビ減らしてもいい?」って相談されて「無理してしんどいことやるぐらいならテレビに出る必要ないんちゃう?」とは言いました。劇場であれば好きなことを言えるし、村本が面白いことを言える場所で戦うほうがいいと思ったので。

――テレビで活躍したいという気持ちはなかったんですか?

パラダイス:バラエティー番組は好きでしたけど、テレビに出られへんのは僕の自己責任だと思っていましたから(笑)。むしろ漫才チャンピオンなのに全然ネタをしていないと言われるほうが嫌だったので、ネタをしている限りは全然不満はなかったです。

◆風刺ネタへの批判は「村本の狙い通りだと思う」

――‘17年頃から社会風刺ネタを披露するようになったウーマンラッシュアワーですが、そのきっかけのようなものは感じていましたか?

パラダイス:『ABEMA Prime』に村本が出演し始めたぐらいから予兆はありましたね。急にニュースのことを勉強し始めていたので。村本が福井県出身なので、福井の原発問題を知ってからより拍車がかかった印象です。村本にとって身近な話題に触れたのも社会風刺ネタの方向に向かう理由としてデカかったと思います。

――漫才の内容が変わっていくことに、抵抗はなかったですか?

パラダイス:ネタの内容が変わっても「ちゃんとウケてるからええやん」とは思っていました。ただ、周りの芸人からは「村本のネタに付き合わされて大変やな」と心配されることもありましたね。

 でも、年1回の『THE MANZAI マスターズ』に出るたびに僕らのネタの反響が一番大きかったので、最後はむしろ認められるようになった感覚はありました。「どうして漫才で政治ネタ?」とか「あれは漫才じゃない」とか賛否両論が巻き起こっていましたけど、結果として村本の狙い通りだったと思います。

◆コンビ活動が無くなり一時は月収3万円台に

――村本さんの海外志向が年々強まっていったと思いますが、コンビでの活動が無くなっていく状況で収入の変化は?

パラダイス: 村本が海外に短期留学していたときに、最低で月収3万円ぐらいにまで落ち込んだときもありましたね。

 このままではマズいかなと思って「3000円以上で何でもやります」という企画をSNSで募集しました。一般の方と海で遊んだり、冷蔵庫に眠っているカレーを食べたり。エピソードも増えるし、いろんな経験をできて楽しかったです。でもそれも闇営業騒動やコロナが重なって辞めざるを得ないことになって残念でしたね。

――現在はどんな仕事をされているんですか?

パラダイス:MC仕事がちょくちょくあったり、ピン芸人の鳥居みゆきとユニットを組んでライブをしたり、オーディションを受けたりしています。あとはスナックかな。歌舞伎町の『lit(リット)』というところで、ほぼ毎日お店に出ていますよ。

 なんとか月収3万円の危機的状況は脱しました(笑)。奥さんも働いてくれていますし、僕自身は物欲もないので、生活費がカツカツになったりはしていないです。