【前田穂南選手】いよいよパリの大舞台へ 記者・カメラが追った9年間の記録「東京五輪でけがでして終わりは嫌だった」
あさって11日(日)、パリオリンピック™最終日の女子マラソンには天満屋の前田穂南選手が出場します。
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前回の東京五輪では33位。けがに苦しみ、たくさんの悔しさを抱えながら走り続けてきた前田選手です。パリに挑む、その思いを取材しました。
コスメ好きな28歳
(松村みなみ記者)
「Q化粧品は好きですか」
(前田穂南選手)
「はい好きです」「コスメは好きですよ」
「興味があるものですか?全部です」
「松村さん(記者)に全部買ってもらいますよ(笑)」
(松村みなみ記者)
「パリには持って行かないんですか」
(前田穂南選手)
「これを持っていきますよ、美容液」
「美白命!」
素顔は、美容好きの28歳。2度目となる世界の舞台に挑もうとしています。
(前田穂南選手)
「東京五輪の時期は今までで一番苦しい期間だった」
「パリではこれ以上の苦しみはないと思うので」
2015年、マラソンで五輪に出たいと天満屋に入社。
コツコツと練習を続けた努力が、4年後に花開きました。東京五輪の選考会・MGCで優勝!日本代表の座をつかみました。
(前田穂南選手)
「東京五輪で金メダルを取る」「夢はあきらめなければ叶うのかなって」
五輪出場が夢だった高校時代 駅伝強豪校で3年間補欠
高校時代は駅伝強豪校にいましたが、3年間補欠。
それでも抱き続けた五輪出場という夢が叶おうとしたとき…新型コロナの影響で、1年の延期が決定しました。
(前田穂南選手)
「しんどかったです」
「全部含めて走る以外も全部含めてです」
「前が見えないのと窮屈な感じが苦しかったです」
開催されるかさえわからない状況の中、懸命に練習を続けましたが、左足を故障。大会直前はほとんど練習が積めないまま本番を迎えました。初めての夢舞台は33位でした。
(前田穂南選手)
「もう走れない状態だったので、自分の力が出し切れなかった悔しい気持ち」
(武冨豊専任コーチ)
「『メダルを取ります』とか自分を奮い立たせるための発言をしていたぶん、思うようにいかないというプレッシャーとか、苦しさは相当だったと思う」
かかとの疲労骨折で1年7か月マラソン大会から遠ざかり…
その後、さらにかかとを疲労骨折。1年7か月もの間、マラソンの大会から遠ざかりました。
それでも、もう一度五輪にと、パリ五輪に向けた最初の選考会・MGCに出場しましたが結果は7位…このレースでは、パリへの切符を掴むことはできませんでした。
(号泣する前田選手)
(母 麻理さん)
「頑張るの?」
「次、頑張るそうです」
前田選手には五輪をあきらめられない理由がありました。
(前田穂南選手)
「本当は辞めるつもりでした」「東京五輪終わってから…」
(松村みなみ記者)「Qなんで続けられているんですか」
(前田穂南選手)
「東京五輪でけがをしていなかったら、です」
「けがをして終わるのはそれは嫌じゃないですか」
「けがで終わりは嫌なんで」
「いい形で終わりたいじゃないですか」
夢だった五輪で、自分の力を出し切るまでは終われない。五輪の選考レースの1つ、1月の大阪国際女子マラソンで日本記録を叩き出し、2度目の五輪代表を掴み取りました。
五輪史上最難関といわれるパリのコースを想定して走り込み
5月末。前田選手は高低差156メートル・五輪史上最難関と言われるパリのコースに対応するため、走り込みをしていました。
世界と戦うという高い目標を持ち続けることは苦しいことではないか問いかけてみると…
(前田穂南選手)
「でも目標がなかったら『何してるん?』てなりませんか」
「(松村記者は)目標とかありますか?逆になんでインタビューしてるんですか」
(松村みなみ記者)「確かに…こういう番組を作りたいというのがないと…」
(前田穂南選手)
「一緒です」「自分を超えていきたい」
過去の自分を超えればおのずと結果はついてくる。パリでは必ず…そう誓っています。
そして、きのう(8日)…前田穂南選手の応援団約30人が決戦の地、パリに到着しました。
「高低差」と「石畳」底力が問われるパリのコース どう攻略する?
(松村みなみ記者)
「パリのランドマークといえばこちらの凱旋門ですが、高さは実は50メートル。今回のマラソンコース最大高低差156メートルの約3分の1なんです」
五輪史上最も過酷といわれる今回のコース。大きな高低差に加えて選手の障壁となるのが、石畳です。
(応援に訪れた人)
「がたがたですもんね。石畳、選手にとっては厳しいコースになるんじゃないかな」
(前田選手の高校時代の恩師 安田功さん)
「アップダウン、あるいは石畳で、そういう部分はハードかもしれないが、やりがいのあるコースかなと」
パリの独特な地形や環境をどう攻略するのか。選手の底力が問われます。
(元天満屋女子陸上部 谷本観月さん)
「歩いているだけでもきれいな街だから、そういうところを走っている前田選手を見られるのが楽しみです。
いつもの前田選手らしい走りで、結果は後からついてくることなので精一杯頑張ってくれたらいいなと」
(前田選手の父 哲宏さん)
「今回は泣いても笑っても最後の五輪みたいな意気込みで、自分のパフォーマンスを発揮したいと言っていました。達成感を得てほしい。今まで自分が練習してきた成果が発揮できたという(達成感を)」
(前田穂南選手)「しっかり応援の力も借りて最後まで走り切りたいと思います」
前田穂南選手も出場する女子マラソンは日本時間の11日午後3時から行われます。