「睡眠時無呼吸症候群」が「脳卒中」のリスクを引き上げる!? 放置すると突然死の可能性も…

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近年、名前が知られてきた「睡眠時無呼吸症候群」。いびきを主訴とするこの疾患ですが、実は放置すると「脳卒中」など命に関わることもあることをご存知でしょうか。ほかにもどのような疾患を招くのかも知りたいところです。みらいメディカルクリニック茗荷谷の松本先生を取材しました。

※この記事はMedical DOCにて【睡眠時無呼吸症候群の原因や治療について医師が解説 放置すると危ない理由とは】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

≫ 「いびきは病気のサイン?」医師が解説 睡眠時無呼吸症候群(SAS)やほかの疾患の可能性

監修医師:
松本 昌和(みらいメディカルクリニック茗荷谷)

東海大学医学部医学科卒業、順天堂大学大学院医学研究科腎臓内科学講座修了。順天堂大学医学部腎臓内科学講座非常勤助教、医学博士。現在、みらいメディカルグループ代表。「内科らしい内科」を目指し、順天堂大学医学部附属順天堂医院にて研修後、同院の腎・高血圧内科に入局、腎疾患と透析医療に当たる。その後、有隣厚生会 富士病院、御徒町腎クリニックなどを経て現職。大学付属病院で勤務していた経験を生かし、大病院と町医者がそれぞれの立場や役割を担うことを重んじ、常に患者の側にたった高品質の診療を心がける。

編集部

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、どんなリスクがあるのでしょうか?

松本先生

まずは、睡眠不足による集中力低下や強い眠気などにより、日中に事故などを引き起こす可能性があります。さらに眠気や疲労感などによるストレスが原因となって、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などのリスクを上昇させます。

編集部

単純に「睡眠不足」や「眠気」だけの問題ではなくなるのですね。

松本先生

また、糖尿病のリスクも増加させます。なぜ、睡眠時無呼吸症候群が糖尿病のリスクを増加させるかということについては、まだメカニズムが解明されていませんが、おそらく、睡眠時無呼吸症候群が原因で交感神経優位の状態が続き、また、インスリンの抵抗性が増すため、糖尿病のリスクが高まると考えられています。

編集部

さまざまな病気のリスクになるのですね。

松本先生

アメリカで行われた研究によると、睡眠時無呼吸症候群の人は正常な人と比較して、糖尿病は1.5倍、高血圧症は2倍、心疾患は3倍、脳卒中は4倍も発症リスクが高まるということがわかっています。 実際、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが突然死されるケースも少なくありません。

編集部

そんなに睡眠時無呼吸症候群は恐ろしいのですね。

松本先生

現在、日本では人口の2%以上(200万人以上)が睡眠時無呼吸症候群を発症していると考えられています。しかし、そのなかで実際に治療を受けている人は4分の1程度。残りの4分の3が見過ごしていると考えられます。家族に呼吸が止まっていたり、いびきを指摘されたり、日中強い眠気を感じたりする場合は、できるだけ早めに内科や呼吸器内科、循環器科などを受診してほしいと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

松本先生

睡眠時無呼吸症候群は、自分では気がつきにくいため、放置されることが多い病気です。当院では健康診断や人間ドックなどで血圧や血糖値、尿酸の数値が高かった人には、睡眠時無呼吸症候群の検査をお勧めしています。睡眠時無呼吸症候群になると、これらの数値が高くなることがわかっているからです。通常、睡眠時無呼吸症候群の検査は入院して行うのが一般的ですが、血圧などの数値が高かった方にお勧めする検査は、ご自宅でできる簡易的なものなので、気軽に受けていただけます。ぜひ、それらのサインを見逃さず、早期発見に努めていただきたいと思います。