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●金沢といえば、寿司・金沢おでん・金沢カレーなど、食のレベルがめちゃくちゃ高いことで有名ですが、実はその隣にある小松市にも注目のご当地グルメがあります。それが「ホワイトサンド」と呼ばれるご当地パン。ランチパックのような食パン2枚を使ったサンドタイプのパンです。

 この「ホワイトサンド」、小松市に店舗を構える『パンと洋菓子 あずまや』 が作っています。小松市内のスーパーなどでも購入でき、地元ではソウルフードとして愛されているのです。

 ご当地グルメが大好きな筆者、金沢に行く機会があったら絶対に食べよう、とかねがね思っていたのですが、とうとうこの7月にその機会が訪れました。小松駅は金沢駅から新幹線で15分、在来線で約30分。『パンと洋菓子 あずまや』の本店はその小松駅から徒歩10分の場所にあります。

 しかし! 店舗に行ってみると、まさかの本店の休業日。うなだれて駅に戻り、小松駅の構内をさまよっている時にふらりと入ったスーベニアショップ『小松土産店』で、『あずまや』の3つのパンを発見! 歓喜と共に購入し、翌朝、ホテルでさっそく食べ比べてみました。

シャキッとするクリームの甘味。定番の「ホワイトサンド」

レトロでほっこりする「ホワイトサンド」のパッケージ。しかしデカい…

 さて、お目当ての「ホワイトサンド」(250円・税別)。まず目を引くのがパッケージ。レトロでかわいいイラストや書体に手作り感たっぷりのビニール包装。もはやわびさびすら感じられるデザインに涙腺崩壊寸前です。

 サンドイッチは、耳つきの食パンを2枚使用。ひとつのパンの四方八方にホイップクリームが塗られており、その上に同じサイズのパンでふたがしてあります。シンプルかつ豪快な出で立ちです。写真では伝わりにくいのですが、ひとつのサンドの面積は、ランチパック2個ほどと、めちゃくちゃボリューミーです。しかも1袋で2セット。つまり食パンが4枚。満腹必至です。

ホワイトサンドの断面

 ホワイトサンドを切って並べてみました。断面を見てみると、食パンと同じくらいクリームの層が厚いです。ほんのりとした小麦の香りに重めのクリームの香りが漂います。めちゃくちゃ空腹を刺激してきます。

 もう我慢できん! ということでパクリ。ホイップクリームは砂糖が前面に出てきてインパクトが強いタイプです。一方で、クリームの脂分は控えめ。そして、パン生地が上品! ふわっとしながらもかみ応えはちゃんとある絶妙な食感。小麦粉の旨味と甘いクリームのコラボは言うまでもなく危険なウマさ。エナジードリンクを思わせるシャキッとする味。筆者は朝食に食べましたが、これで一気に目が覚めました。

懐かしさのある甘味が光る「ピーナツサンド」

ピーナッツサンド

 続いて「ピーナッツサンド」(250円・税別)。食パンにクリームを塗って挟むタイプのサンドパンでは定番の味ですよね。これまたパッケージのデザインがかわいいです。パッケージを眺めているだけで、旅先ならではの郷愁を感じられます。

何も引かない、何も足さない正しいウマさ

 このピーナッツサンドもクリームが多いです。口へ運んでみると、シンプルで強めの甘味が口内に広がりました。昔ながらのピーナツサンドの味です。優しい食パンが強めのピーナッツクリームを包むことで、全体が調和の取れた味になっています。

 そしてピーナッツクリームが多いのに、食べやすい。個人的にめちゃくちゃ好きな味です。子どもの頃に食べていたら間違いなくハマりまくって個人的なソウルフードになっていたでしょう。

 それにしても、パンの生地のレベルが高くて驚きます。買ってから時間が経っているのに、パサつきは一切なく、しっとりふわっとしているんです。バターリッチな高級食パンとも異なり、スーパーのパンのような落ち着きのある風味とも違う。このクリームを挟むために生み出された、そんな感じのパンです。パン屋さんの底力を感じます。

実は全国で売られている「頭脳パン」

頭脳パン

 最後に食べたのは「頭脳パン」(220円・税別)。パッケージには昭和のマンガに出てきそうな線の太い博士が描かれ、「ずのうパンを毎日食べてよく勉強して優秀な成績を残そう」と言っています。

 ちなみに金沢市内のいくつかのパン屋さんも同じ商標のパンを作っているため、各メーカーで味が異なるそうです(ちなみに、金沢製粉が作るビタミンB1がたっぷり含まれる「ずのう粉」が使われているそう)。

 商品名どおり、受験シーズンになると爆売れしたり、東大や京大に置かれて大人気を博すなど、勉強界隈では強い支持を集めています。実は石川県以外でも、特定の地域のスーパーでも入手できます。

コンビニのコッペパンの1.5倍ほどの太さ。受験勉強の夜食にピッタリ。小腹が空いた時にかぶりつきたくなるフォルムです

 というわけでその頭脳パンをガブリ! パンの中にクリームやジャムなどは入っていません。その代わりレーズンがふんだんに入っています。パンの表面と中心部にまんべんなく配置されているので、どの部分を食べても甘味と酸味のアクセントを味わえます。

 そして、生地は練乳が加えられているおかげで、ほのかに甘い。パン生地の密度もほどよく、パサつきは皆無。生地が主体のパンなのに、食べ続けても飽きません。あれよあれよとかじっているうちに、いつの間にかなくなってしまいました。これも中毒性が高いですね。近所で売っていたらヘビーローテーションすると思います。

まとめ

 あづまやのパンは、生地がシンプルながらも正しくおいしい優秀パンでした。ご当地お菓子ともご当地パンとも言い表せない中間的な味わいにハマりました。

 ただ、入手するのはやや難度高め。先述のとおり、本店は小松駅から徒歩10分ほどの場所にありますが、水曜・第1・3木曜、金曜が休み。他のスーパーは車がないとアクセスが難しいので、本店が休みの場合、小松空港もしくは小松駅で購入するのがおすすめです。

●SHOP INFO

店名:小松土産店

住所:石川県小松市土居原町13-18(小松駅構内)
営業時間:8:00~20:00
備考:2024年7月時点での情報になります

(撮影・文◎中たんぺい)