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「夏バテ」や「暑気あたり」という言葉があるように、夏の暑さはさまざまな体調不良を引き起こします。これらへの対策として昔から講じられてきたのが、「暑気払い」と呼ばれる行事です。暑さが本格化するこれからの季節に合わせ、暑気払いの豆知識と暑気払い向けの食べ物をご紹介します。

【写真】食べ物以外で暑気払いを行うなら?

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暑気払いとは?

「暑気払い」とは、体にたまった熱気を打ち払う行事のことです。例として、夏バテに効果的な食べ物や飲み物、漢方を口にしたり、川や海、プールに出かけたりすることが挙げられます。

暑気払いを行う時期に明確な決まりはありませんが、一般的には、暑さが気になり始める6月ごろから、暑さが落ち着いてくる9月ごろまでとされています。

暑気払いの歴史は古く、平安時代にはすでに夏の暑さを払う風習があったことがわかっています。

当時行われていた暑気払いは、冬の間に氷室に蓄えた氷を、夏に切り出して食べるというものでした。ただし、冷凍庫がない時代の氷は貴重品だったため、主に貴族の間でのみ嗜まれていたようです。

その後、江戸時代になると庶民にも広まり、暑気払いとして甘酒や柳蔭(※1)、枇杷葉湯(※2)などが飲まれたり、行水や川遊びが行われたりしていたとされています。

※1 柳蔭(やなぎかげ)…みりんに焼酎を混ぜたもの。

※2 枇杷葉湯(びわようとう)…ビワの葉を煎じたもの。

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どんな食べ物・飲み物がおすすめ?

暑気払いには体の熱を冷やす効果があるものや、栄養豊富なものが適しています。

〈ウリ科の野菜〉

一般的に、スイカやメロン、キュウリ、ゴーヤ、トウガンなど、ウリ科の野菜は夏が旬です。水分を豊富に含み、体の熱を下げる効果もあるため、夏バテ対策に適した食材といえます。

〈麦〉

麦は6〜7月が収穫期です。利尿作用があり、体にたまった熱を逃がしてくれる効果が期待できます。

麦を使った夏向けの食べ物・飲み物としては、冷や麦、そうめん、麦ごはん、麦茶、ビールなどがおすすめです。

〈甘酒〉

甘酒はブドウ糖やビタミン類、アミノ酸などを含んでいて、「飲む点滴」ともいわれる栄養満点な飲み物です。

現代では冬の飲み物というイメージが強い甘酒ですが、その季語は夏。というのも、元々は夏によく飲まれていたためです。江戸時代には、夏になると甘酒売りが冷やし甘酒を売り歩いていたとされています。

〈うなぎ〉

土用の丑の日によく食べられる食材です。

特徴的なのは栄養価の高さで、ビタミンA、ビタミンB1・B2などのビタミン類や、亜鉛、鉄分、カルシウム、タンパク質などを豊富に含んでいます。

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