(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

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プレゼンアドバイザーの竹内明日香さんによると、学校の国語のテストや入試問題において、<子どもたち自身の意見>を問う設問が少ない傾向が続いているそう。このような状況のなか竹内さんは、子どもたちの「話す力」を育てるための講演や授業を全国で行っています。そこで今回は、竹内さんの著書『話す力で未来をつくる 〜プレゼンアドバイザーが伝える 子どもの思考力 判断力 表現力を伸ばすチャレンジ〜』より、家庭でできる子どもの「話す力」を育てるメソッドを一部ご紹介します。

【書影】家庭でできる、子どもの「話す力」を育てるメソッドを紹介。竹内明日香『話す力で未来をつくる 〜プレゼンアドバイザーが伝える 子どもの思考力 判断力 表現力を伸ばすチャレンジ〜』

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子どもが参加したくなる家族の対話づくり 「家族会議」とは?

「家族会議」という言葉を聞いたことのある方もいらっしゃると思います。

家族間で共有したいこと、決めたいことなどを家族で話し合う取り組みです。

SNSなどで「家族会議」が話題になったことをきっかけに、取り入れていらっしゃるご家庭もあるようです。

ここでは、「話す力」の芽を育むのにとても効果のある「家族会議」の進め方をご紹介します。

家族会議の最も重要なポイント

最も重要なポイントは、親子が対等な立場で意見を言い合える環境、雰囲気を作ることです。

テーマは何でもかまいません。

「週末の予定」「その日・その週の出来事で、うれしかったこと」「家族の誰かにしてほしいこと」「誕生日に買ってほしいもの」「習い事を続けるかどうか」など、家族に聞いてほしいこと、家族みんなで決めたいことなど、話しやすいテーマを取り上げることが、長く続くコツでもあります。

「家族会議」は、それぞれが抱える日々の喜びや驚きを分かち合うだけでなく、時には悲しみや不安・不満も共有することで、家族みんなでどうすればよいかを一緒に考える良い機会になります。

普段、学校での出来事や自分の気持ちをあまり多くお話ししないお子さんも、心理的に安心できる環境で「家族会議」を続けていくことで、徐々にいろいろな発言が増えてきたという声もよく耳にします。

家族会議の心構え

家族会議の進め方はもちろん自由ですが、家族の誰もが楽しんで家族会議に臨めるようにするために、保護者の方に、頭の片隅にとどめておいていただきたい心構えを、ここでご提案します。

何を話す?


(写真提供:Photo AC)

●テーマは何でもOK。

●思っていること、感じたことを言葉にしやすい雰囲気づくりが重要。

いつ話す?

●週末や食後など、家族のみんながリラックスできる時間帯がおすすめ。

●短時間で終わらせることもポイント。

●お子さんが飽きてしまったら一旦終わりにするなど、無理強いしないことも大切。

どんなふうに?

●お子さんの考えや意見を知る機会だと考える。

●テーマの解決を焦らず、対話そのものを楽しむ。

●お子さんから保護者とは異なる意見が出ても、頭ごなしに否定しない。

「会議」という言葉を聞くと、難しい、堅苦しい印象があるかもしれません。

しかし、「家族会議」は、子どもたちが目的意識を持って自分の考えをまとめ、思いを伝える、とても良い機会になります。

そうした経験を積むことが、「話す力」のトレーニングになりますし、生活をともにする家族の中でもそれぞれが異なる意見を持っていることを知っていれば、学校や社会で、自分とは異なる意見に触れた時にも、端(はな)から否定するのではなく、異なる意見を理解しようという気持ちが生まれやすくなります。

高島市長の家族会議

2023年5月、兵庫県芦屋市で史上最年少の26歳の市長が誕生したことをニュースなどでご存じの方も多いと思います。

その市長・高島崚輔(りょうすけ)さんは、灘中・高から進学した東京大学を中退し、米ハーバード大学を卒業後、1年で自治体のトップに就任したという経歴も注目されていますが、この高島さんも、自身が育ったご家庭では、「家族会議」が実践されていたそうです。

例えば高島家では、お正月に自分で決めた1年間の目標の達成度をアピールし、それをもとにお年玉の額を交渉したり、家族旅行の行き先を決めたりしたとのこと。

灘中学を受験するかどうかについても、「家族会議」で方針を確認したといいます。

「両親はいつも、(自分を)子ども扱いせず、対等に接してくれて、子ども心にありがたかった」と述べた高島市長は、就任会見で「市長として大事にしたいこと」を問われ、「対話に尽きる」と語られていました。

自治体のトップとして、市民との対話と積極的な情報発信を重要と考える高島市長は、就任後、市役所の活動を積極的にSNSで発信されながら、市内の中学校を訪れて生徒たちと一緒に給食を食べながら話し合うなど、市民との対話を実践されています。

※本稿は、『話す力で未来をつくる 〜プレゼンアドバイザーが伝える 子どもの思考力 判断力 表現力を伸ばすチャレンジ〜』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。